食料自給率41%は低いのか? (1/4)
農林水産省が発表した平成20年度の食料自給率(カロリーベース)は41%――。農水省は食料安全保障の立場から、食料自給率は「50%以上がのぞましい」としているが、果たして41%という数値は低いのだろうか。
41%――。農林水産省が今年8月に発表した平成20年度の日本の食料自給率(カロリーベース)だ。農水省は食料安全保障の立場から、自給率アップの必要性を説き、「50%以上がのぞましい」との目標を掲げている。「食料安保」という言葉から「飢餓」や「飢え」という言葉が連想されるが、果たして食料自給率41%という数値は低いのだろうか。そもそもカロリーベースの食料自給率は「食料安保」の指標としていいのだろうか――。
自給率の意味
「カロリーベースの食料自給率は何も意味していない」と断言するのは、東京大学大学院農学生命科学研究科の川島博之准教授だ。農水省の農業環境技術研究所で9年間にわたり食料問題を研究してきた川島准教授は、世界の食料危機自体を否定している。
川島准教授は今年3月に出版した「『食料危機』をあおってはいけない」(文藝春秋)で、これまで世間で言われてきた食料危機説のさまざまな根拠に反論しているが、その主張は明快だ。
「世界に食料は余っている。人口の増加などにより、将来的に需要は増えるだろうが、予想されているほどではなく、生産量も増える。日本列島を封鎖することはできない。だから、日本が食料不足による食料危機に陥ることはない」
各論は同書に譲るとして、川島准教授は食料自給率について、このような見解を披露する。
「カロリーベースの食料自給率は、農水省が国民の危機感をあおり、税金から補助金を出させるために作り出した道具に過ぎない」
農水省の資料によると、食料自給率とは「国内の食料消費が国産でどの程度まかなえているかを示す指標」だ。この説明を聞くと、川島准教授の指摘は的はずれのように見える。
だが、「カロリーベースの食料自給率は(国民の)生命・健康維持にかかわる安全保障度を示している」(同課)という視点に立ち、食料自給率の算出の仕方をよく見てみると、意外な事実が分かる。
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小麦の収穫作業。茶色く色づいた麦畑の奥には、緑色の水田が広がる。昨年度のカロリーベースの自給率は、小麦が14%、米は96%だった=6月、栃木県小山市(矢島康弘撮影)