米国株の大幅高を受けて買い先行で始まるも上値も限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2009年11月10日 17時15分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9870.73円 △61.74円
売買高 18億0517万株
日経平均先物 9870 円 △70円
売買代金 1兆2678億円
TOPIX 872.44 △ 1.77
値上がり銘柄 854銘柄
東証マザーズ指数 417.78 ▼4.34
値下がり銘柄 724銘柄
日経ジャスダック平均 1187.37円 ▼4.50円
変わらず 110銘柄
騰落レシオ 89.41% △6.66%

日経平均

米国株の大幅高を受けて買い先行で始まるも上値も限定的

 週明けの米国市場が大幅高となったことから買い先行となりました。ただ、為替が円高傾向にあることや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が買い越しと伝えられたのですが金額ベースでは売り買い拮抗とされたことなどもあり、先物もシカゴ市場(CME)の終値に届かず大幅高ながらも上値の重い展開となりました。それでも寄り付きの買いが一巡した後も銀行株や不動産株などを中心に買戻しを急ぐ動きは続き大幅高水準で上値を試す展開となりました。

 後場も大幅高ながらも上値の重い始まりとなり、上値の重さを嫌気する動きから指数もじりじりと上げ幅を縮小しました。持高調整の売り買いが中心と見られ、値がさ銘柄のいっかくや銀行株などが高く指数を押し上げる一方で、自動車株の一角や海運株、電力株などが持高調整と見られる売りに押されて指数の上値を押さえる動きでした。原油や金など商品市況が堅調な割りには石油株や非鉄株の上値も重く、相変わらず外部環境というよりは目先の需給=持高調整の売り買いに振らされている感じです。為替も円高傾向にあり、金利も上昇が続いているということに加え、相変わらず政策の先行きははっきりせずに最後まで買い切れない状況も続いているものと思います。

 小型銘柄は軟調なものが目立ちました。主力銘柄は持高調整の買い戻しが入り堅調ですが、小型銘柄は買戻しが入り難い分、見切り売りに押されてしまったようです。東証マザーズ指数は大幅安、二部株指数や日経ジャスダック平均も軟調となりました。先物も朝方に買戻しが見られた他はほとんど動きはなく、指数を動かす場面も少なかったもようです。買戻し一巡後はシカゴ市場の終値まで戻らなかったことを嫌気して見切り売りもあり、週末のオプションSQ(特別清算指数)算出に絡む動きもほとんどなく、閑散とした感じでした。

 米国市場が大幅高でもなかなかついて行けないようです。新政権の株式市場に対する影響もここえ来て取りざたされ始めましたが、逆にそろそろそうした動きは一段落となって、業績の回復を織り込んで行くのかもしれません。まだ政策がらみの銘柄は先が見えないことで動き難いのでしょうが、同じ業種のなかでも政策に関係なく業績の回復が見られるような銘柄は底堅さも見えて来るものと思います。ここは森を見るよりも木を見て個別に方向感を探った方が賢明かもしれません。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 遅行線は日々線を抜け掛かって来ました。10月安値を割り込まなかったことで底堅さも見られるものと思われますがいったんは基準線や転換線、そして雲や25日移動平均線が10000円前後でひしめいていることもあり、10000円が節目となってその水準を意識するところでは上値も重くなるようです。今度は遅行線が日々線のサポートを確認しながら底堅さを確かめ、雲のねじれ付近を一気にめざすことになるかもしれません。遅行線が日々線を抜け切れなければ、あるいは再び割り込んでしまえば、調整がまだまだ続くことになりそうです。

TOPIX

NYダウ

 遅行線が日々線の底値の日柄や水準を意識して底堅さがみられます。ただ、上値もまだ転換線に押さえられた格好であり、「戻り」とか「底入れ」というには少し早そうです。7月安値水準=10月安値水準を割り込むと「三山(三尊)天井」と言うような格好となり、調整が長くなりそうですが、RSIもストキャスティックスも安値圏になっており、遅行線が日々線に絡みながら底堅さが見られ、戻り歩調となるのかもしれません。

円相場

NYダウ

 だいぶ煮詰まって来ました。日々線が基準線にサポートされるよりも雲に上値を押さえられ、遅行線が日々線にサポートされながら下値を試す動きとなっています。RSIもストキャスティックスも下値余地があり、遅行線が日々線の底値の日柄になるまで下値を確認する動きが続きそうです。

銘柄ピックアップ

持高調整の買戻しもあり、売られていたものに高いものが見られる

井関農(6310) 366 △24

 昨日の引け後に2010年3月期4−9月業績の上方修正を発表。通期業績の営業利益も大幅に上方修正したことが好感されて大幅高となりました。

HOYA(7741) 2170 △25

 受注が引き続き好調ということで、業績上振れ期待が強まり、外資系証券が投資判断を引き上げたことから買われ、堅調となりました。

パナ電工(6991) 1017 ▼7

 LED(発光ダイオード)事業の強化を発表、ここのところ持高調整の売りに押されて軟調となっていたことから、素直に好感する買いが入り、一時6営業日ぶりの上昇となりましたが持高調整の売りは終わっておらず、売り直されて軟調となりました。

いすゞ(7202) 185 ▼8

 昨日の引け後に2010年3月期の連結売上高の見通しを従来予想から引き下げ、嫌気する売りに押されて大幅安となりました。国内販売の厳しさから下触れ余地があることにも言及されたことで、見切り売りがかさんだようです。

トヨタ(7203) 3410 ▼90

 米国株が大幅高となったにもかかわらず軟調となりました。米国での不具合の問題を嫌気する動きに加え、持高調整の売りがかさんで、買い気の乏しい中で軟調となりました。

コマツ(6301) 1858 △4

 3日続伸となり、年初来高値更新となりました。先週末に2010年3月期の連結純利益予想を上方修正。「新興国関連銘柄」として買われたことで、買戻しを急ぐ動きが入り堅調となりましたが、持高調整の売りもあり、上値も限定的となりました。

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