フランクフルト空港はどんな「エコ空港」を目指しているのか(後編)松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2009年11月10日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 燃料電池車は技術的な成熟が必要ですし、水素自動車は新たな充てんスタンドを建設しなければなりません。それに対し、どこでも充電可能なEVは空港での利用に適しているわけです。

ターミナル内を走る乗客サービス用の電気自動車(左)、貨物コンテナを牽引する作業用車両(右)

なぜターミナル3の建設は延期された?

――そういえば、代替航空燃料の研究も進んでいます。見通しはいかがでしょう。

マルクス 将来的には世界の食糧生産を圧迫せずに生産可能な第二世代バイオ燃料が有望と思います。カーボンニュートラルな燃料が実用化されるといいですね。

航空燃料タンクと離陸する航空機

――ところで、ターミナル3の建設が延期されたと聞きました。

マルクス 世界経済危機の影響を受け、財政上の問題で2年ほど延期されました。2011年には部分開業する予定です。

――2008年環境報告書にターミナル3の完成予想図が載っており、見出しはズバリ「エコターミナル」ですね。

マルクス ターミナル1 は機能を最優先して建てられ、ターミナル2はガラスを多用した明るさが特徴です。時代は変わり、最新となるターミナル3はエコをテーマとしています。省エネはもちろん、冷暖房に地熱を利用し、併設される空港消防署はパッシブビル(冷暖房・給湯に自然エネルギー以外のエネルギーをほとんど必要としない究極のエコビル)となる予定です。また、節水やゴミの削減にも最大限取り組みます。

――空港ターミナルは天井が高く出入り口が多いなど、省エネは難しいのでは?

マルクス 確かに空港ターミナルならではの難しさはありますが、空間全体ではなく人がいる低層階を重点的に空気調節することにより、大幅な省エネが可能となるはずです。

フランクフルト空港ターミナル3の完成予想図(左、出典:Umweltbericht 2008)、ターミナル2の外観(右)

――エコ空港を目指しているとのことですが、そもそもどのような基準をもって空港のエコ度や環境対策の充実度を評価するのでしょう。例えば、前述の「空港の二酸化炭素排出削減認証制度」もひとつの基準ですが、他にも客観的な基準はありますか。

マルクス 質問の趣旨はよく分かります。空港はそれぞれ、規模・利用者数・貨物量・立地条件・社会条件など大きく異なりますから、その環境対策を直接比較するのは困難です。しかしながら、全くできないわけではありません。

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