問題の分析をやめてみる解決法(2/2 ページ)

» 2009年11月10日 08時00分 公開
[泉本行志,INSIGHT NOW!]
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問題の原因と解決策はいつもリンクしているわけではない

 そもそも「問題の原因と解決策の間は、必ずしもいつもリンクしている」わけではありません。問題の原因を見つけなくても、状況を変える解決策は別のところに存在することもあります。もちろん、機械やコンピューターなどの不具合は、その原因を特定しないと解決に至ることはありません。しかし、「人」を扱う際は、必ずしも原因を追究することが解決につながらない場合があります。

 例えば、営業で売り上げがあがらない人に「なぜ売れないんだ?」と追求しても萎縮するだけだし、コールセンターで「電話対応数が少ないのは何故だ?」とチームに追及すると、「●●さんの対応が遅いのが足を引っ張っている」などと個人攻撃が始まってしまう。

 これでは問題を追及することで「人」の感情がネガティブの方向に振れていくだけで解決を生みません。批判された本人も、悪い点ばかりクローズアップされ、「どうすればいいか考えてみろ」と言われても、どうすればよいかがまったく分からず、心理的に追いつめられるだけの可能性があります。このような場合、原因がどうこうではなく、「どうしたらよい状況になるか」に焦点を当てる方が、結果としてよっぽど解決への近道になるのではないでしょうか。

 また、このソリューション・フォーカスト・アプローチでは、“解決は既に起こっている”と考えます。問題は必ずしもいつも起こっているわけでありません。どんな時に問題が起こっていないか、その問題が起こっていない「例外」的な状態を探すことで、その例外的に「うまくいっている」状況を増やそうとするアプローチです。「問題が起こっている」状態ではなく、「起こっていない」状態に焦点を当て、そこから解決策のヒントを得る。この手法により、問題の原因追究に時間をかけることなく、より肯定的なモードで短期間で解決策を見出しアクションに導くことができる場合があります。   

 人は感情抜きに、事実だけで物事をとらえることを得意としていません。ロジカルに問題の分析から始める解決方法は万能ではなく、特に人の感情が問題と深く絡み合うケースに対応しきれません。そのようなケースでは、問題を分析することをやめてみて、既に解決した状態に焦点を当てるソリューション・フォーカスト・アプローチを試みる柔軟性が必要なのではないでしょうか。(泉本行志)

参考文献

解決志向(ソリューションフォーカス)の実践マネジメント』(青木安輝著)

組織の成果に直結する問題解決法 ソリューション・フォーカス』(ポール・Z・ジャクソン、マーク・マカーゴウ著)


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