やはり選挙に有利なのか? テレビに出演する政治家たちは(3/4 ページ)

» 2009年11月10日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
『サンデープロジェクト』の公式Webサイトより

 またテレビ局も、あるテーマに関して短く喋ってくれる政治家がいると、その人を追い続ける傾向がある。テレビ局が追い続けると、その政治家は出続けることになる。そしてテレビに出ていると有名になるので、またその政治家をテレビ局は使う。政治家の中にはテレビの出演を優先し、自分の予定をキャンセルする人もいるほど。例えば、地元で300人の前で話をせず、日曜日の朝のテレビ番組に出演するのだ。なぜなら地元で話をするよりも、テレビで話をする方が“効率”がいいから。

 日曜日の朝でいえば、TBSの『時事放談』、フジテレビの『新報道-2001-』、NHKの『日曜討論』はあまり面白くないが……(笑)。このほか、面白いが危なげな朝日テレビの『サンデープロジェクト』。この番組のことを、私は「リーサル・ウェポン」だと言ったことがある。サンデープロジェクトに出演し、うまくこなせればいいが、発言を間違えると政権を失いかねないからだ。

 これらの番組に出られなかったら、BS……それもダメだったらCSの番組に。といった感じで、出続ける政治家もいる。テレビ出演を続けた場合、確かに効果はあるのだが、地元の人に会うことも忘れてはいけない。例えば、地元の人に「加藤先生、この前『サンデープロジェクト』で田原総一朗さんと議論していましたね。良かったですよ。しかし田原さんは傲慢ですね」などと聞かれ、「そうか、オレもそう思うんだけど」といった会話をすると、“いい政治家”といったイメージを持ってくれる(笑)。

 しかしテレビ出演を優先していると「先生は最近、東京ばかりにいる。地元に帰りませんね。我々とも話してくれず、有名人になってしまった」などと言われると、徐々にその政治家の力は弱くなっていくのだ。

 つまりテレビ出演と地元の人との会話をうまくこなすということは、超人的なスケジュール管理が必要になる。民主党の渡部恒三さんがある日、テレビ番組でこのようなことを言っていた。「我々は田舎に行くと、有力者の家族に会う。そうすると、そのおじいちゃんは孫に『この渡部先生は何回も大臣を務めたエライ先生だ』と言ってくれていた。しかし最近では『この渡部先生はテレビにしょっちゅう出ているエライ先生だ』という表現に変わってしまった」と。

 実は大臣クラスの政治家が、どこかの選挙区に応援に行っても、あまり歓迎されていない。むしろテレビによく出演する人の方が、歓迎されるのだ。例えば「テレビでよくお目にかかる、○○先生が応援に来てくださいました」といった形で紹介される政治家の人気は高い。

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