雇用の改善傾向が確認されて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月06日 08時36分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10005.96△203.82

<NASDAQ>2105.32△ 49.80

<為替:NY終値>90.74-90.8

雇用の改善傾向が確認されて大幅高

 朝方は発表された新規失業保険申請件数が予想を大きく下回ったことで、前日の雇用リポートに続き雇用の改善が見られたこと、また、労働生産性指数が予想を大きく上回り2003年以来の伸びとなったことを好感し、買い先行となりました。個別企業の決算も改善が見られるものが多いだけに懸念された雇用の不安が薄まると買戻しを急ぐ動きなどもあって大幅高となりました。商品市況はまちまちとなりましたが、底堅さが見られ、上値を押さえる要因にはならず、好調な決算を受けてハイテク銘柄にも高いものが目立ちました。

 先週末の大幅下落後も思ったように戻りませんでしたが、再び景気回復をしっかりと織り込むような展開になって来ました。まだまだ、雇用や個人消費に不安は残るものの、週末の雇用統計の発表を前に楽観的な見方も強まっているようです。金融システムさえしっかりとして、リスクに対する許容があれば雇用や個人消費も回復してくるということなのでしょう。また、世界的な景気回復が米国の利益に繋がるというような発想で、世界経済さえ好転、好循環をしていれば、企業業績の悪化も防げるということで、買い安心感も出たようです。

 個別には前日の引け後に予想を上回る四半期決算を発表したシスコシステムズが堅調、商品市況はまちまちですが、景気回復期待が強まったことでアルコアも高く、ボーイングやキャタピラー、デュポンといった景気敏感株が軒並み大幅高となりました。金融不安も薄れたということで、JPモルガンチェースやアメリカン・エキスプレスなど金融株に大幅高となるものが多く、シスコシステムズに引きずられるようにインテルやHP(ヒューレット・パッカード)、IBMなどハイテク銘柄も軒並み堅調となりました。ダウ採用銘柄はディフェンシブ銘柄として乗り換え売りの対象となったメルク以外、全て上昇となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場が堅調、為替も円安となったのですが、好材料への反応はほとんどなく持高調整の売りに押されて大幅安となりました。相変わらず先行きに対する懸念ってしまうようです。業績の回復や好調な業績が示されて買われても長続きもせず、物色対象も広がらず、指数の下支えとはなりませんでした。

 米国市場が大幅高となったことで、買い先行となりそうです。昨日は持ち高調整の売りに押されましたが、本日も引き続き持高調整の売りが出るようであれば上値も限定的となるものと思われますが、米国でハイテク銘柄も買われたことや、為替も落ち着いていることからハイテク銘柄などが買われて指数を押し上げそうです。また、順調な回復を示すトヨタ(7203)の決算発表を受けて自動車株なども買い直されて来ると思われます。原油価格や貴金属価格も引き続き堅調となっており、非鉄株などにも買い直しの動きも見られそうです。日本の政策の混迷が懸念されて持高調整の売りは続くのかもしれませんが、昨日の大幅下落の反動もあり、週末の手仕舞いの買戻しなども期待されます。

 昨日は予想外の大幅下落となりましたが、何とか9700円を保ちました。先を見るとまだまだ9500円から600円水準まで下落となる可能性もありそうですが、とりあえずは10月安値を意識して下げ止まったのかもしれません。戻りは少し先を見ても10100円台半ばから200円台半ばということになってしまいそうですが、その前に心理的な節目である10000円を意識するところで上値が重くなりそうです。本日は昨日の下落を取り戻し、昨日上昇となってもおかしくなかった分を加味して9900円前後の節目を目指すことになりそうです。持高調整の売りが出ると昨日の下げ分も戻せないことになりそうです。

本日の注目点

◇20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(英セントアンドリュース、7日まで)

◇9月の景気動向指数(内閣府)

◇10月の車名別新車販売ランキング(自販連)

◇10月の米雇用統計

◇9月の米卸売売上高

◇決算・4−9月期:オリンパス(7733)、東レ(3402)、味の素(2802)、シチズンHD(7762)、カシオ計算機(6952)、三菱レイヨン(3404)、クレディセゾン(8253)

◇決算・4−9月期:英ブリティッシュ・エアウェイズ

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