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“おもてなし”の心は生き残れるか 日本旅館の閉館続く

伝統的な日本旅館の閉館が続いている。国内の旅館数は1980年の8万3226軒をピークに毎年減少。毎年1500〜2500軒のペースで閉館が続き、ここ20年間で3万軒が廃業した計算だ。日本旅館の現状はどのようになっているのだろうか。

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 伝統的な日本旅館の閉館が続いている。厚生労働省が先月末に発表した2008年度の旅館・ホテル営業施設数と客室数調査によると、今年3月末現在の旅館数は5万846軒。過去5年間で約8000軒も減少しており、今年中の5万軒割れは確実な情勢となっている。

 国内の旅館数は1980年の8万3226軒をピークに毎年減少。毎年1500〜2500軒のペースで閉館が続き、ここ20年間で3万軒が廃業した計算だ。客室数も前年度比1万4871室減の80万7697室と減少の一途をたどっている。

 逆にホテルは毎年微増が続き、2008年度の時点で9603軒(78万505室)。客室数は2年連続で4万室以上も増加しており、毎年2万室以上が減少している旅館との差は肉薄。軒数では5倍以上の差があるが、客室数では今年度中にホテルが旅館を逆転する可能性も出てきた。

 低迷する旅館の中でも落ち込みが激しいのは栃木県。日光や鬼怒川、那須などの有名観光地や温泉を抱えながら、1年間で廃業した旅館数は107軒と47都道府県中でダントツだ。鬼怒川温泉の老舗旅館で営業を担当する社員(44)は「旅館業はもともと損益分岐点が非常に高く、老舗の中〜大規模旅館ほど新たな需要を取り込めず苦労している」と嘆く。

 「都心に近い温泉場ではブライダルや大型会議の需要はなく、団体旅行も頭打ち。経営及第点とされる年間稼働率75%を維持するのは至難の業です。銀行管理の旅館も多く、代表的な旅館でさえ、他県や外資の大手ホテルチェーンに買収されている。個人経営の旅館に至っては、誰も後を継がないでしょう」

 その一方、一部の旅館は団体旅行や旅行代理店への依存体質から脱却。インターネットを活用した直販に転換して経営状況を好転させているところもある。

 桜美林大の鈴木勝教授(観光業マーケティング論)は「和風旅館に対する国内外の消費者の期待はホテルよりも高く、“おもてなし”に代表されるソフト面の魅力はどこも優れている。旅館の復権はまだまだ可能」と力説する。

 「旅館はホテルに比べてシステム面で劣っている。インターネットによる分かりやすい情報発信と、全国チェーンのホテル並みに細分化した予約システムを確立することです。曜日や食事の有無でメリハリを付けた細かい料金設定や、女性1人でも前夜の真夜中までネットで予約できるサービスなどを提供し、消費者のニーズを満たす努力が必要です」

 伝統的な旅館の減少は、日本が世界に誇る“おもてなし”の心の存亡にもかかわる一大事。日本人なら、無関心ではいられないだろう。

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