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» 2009年11月04日 08時00分 UPDATE

-コデラ的-Slow-Life-:意外に何とかなるレンズのカビ

実家で30年ぶりに発見した富士フイルムのFUJICA ST701。レンズはカビだらけだったが、根気よくクリーニングすると、ある程度は汚れが取れた。

[小寺信良,Business Media 誠]

 すっかり忘却の彼方にあったFUJICA ST701。今となってはボディよりも希少なFUJINONのM42レンズは復活させたい。さっそくレンズの方から分解である。

 →富士フイルム初の一眼、FUJICA ST701

 レンズの分解は、以前もご紹介したことがあるように、工具さえ揃えればそれほど難しくはない。ただし、それは単焦点レンズの場合で、ズームレンズは構造が格段に複雑なので、アマチュアにはちょっと難しい。

 多くのレンズは、ピント合わせの都合から、前玉群と後玉群に分かれる。まずは正面から前玉群を外してみることにした。前玉群は2枚のレンズから構成されているが、光にかざしてみると、ものすごいカビである。

ah_DSC00200.jpg 30年以上も放置したカビ

 レンズの洗浄は、専用のレンズクリーナーを用いる。筆者はHCLのレンズクリーナーとペーパーを使っているが、大手カメラショップではたいてい扱っているので、入手しやすいだろう。通常の汚れであれば、クリーナー液を少し付けて軽くふき取るぐらいのことだが、このぐらいのカビになると、かなり多めに付けて強めにふいてやる必要がある。

 この時、指で作業してはダメだ。指の脂がレンズに付いてしまうからである。そこでクリーニングペーパーを割り箸に巻き付けて、そこにクリーナー液を付け、最初は軽くふき取る。固いゴミを払ってからではないと、レンズに傷が付くからだ。その後、慎重に様子を見ながら、少し強めにこすっていく。カビはオキシドールでふくと良いという意見もあるが、以前試した時にレンズコーディングがダメになってしまったことがあるので、それ以来使っていない。

ah_DSC00203.jpg このぐらいまできれいになれば、使えるだろう

 続いて後玉群である。後玉の方は、カビというよりは曇(くも)りである。これもカビの一種なのだろうが、種類が違うようだ。こちらも同様にクリーニングしていく。

ah_DSC00202.jpg ひどい曇りの後玉
ah_DSC00204.jpg こちらも根気よくクリーニング

意外に丈夫なボディ

 さて次はボディの方である。外装にこびりついたホコリ汚れは、天然オレンジオイル成分を配合した家庭用洗剤でふいてやると、革も痛めず結構きれいになる。もちろんミラーなど光学部分は、レンズクリーナーを使った方がいい。

 内部は幸いにしてプリズム鏡面の剥離はなく、ガラス面のカビの掃除だけで済んだ。ファインダーの接眼レンズもカビが来ているので、こちらもきれいにする。

ah_DSC00224.jpg 幸いプリズムの剥離はなく、少しのカビだけ
ah_DSC00223.jpg 接眼レンズははめ込んであるだけなので、簡単に外れる

 気になる露出計だが、電池を入れたところ反応無し。ガラス類にこれだけカビが来ているので、中の回路も危険そうだ。シャッター速度リングのあたりを分解してみると、意外にも接点部分はまったく腐食していなかった。さすがは金メッキといったところだろうか。

ah_DSC00291.jpg シャッタースピードの接点は、まったく腐食なし

 接点をきれいに洗浄して、設置する板バネを少し強めに起こしてやって再組み立てしたところ、動くようになった。ただどうもセンサー感度が相当鈍っているようで、光に向けると「むわぁーん」というスピードで針が上がってくる。

 露出計の調整をする可変抵抗が左角にあるので、一応1/60秒前後で正常に振れるよう調整したが、1/500、1/1000ぐらいになるとうまく追従できないようだ。

 ST701の露出計は、明るいと−(マイナス)側に振れ、暗いと+(プラス)側に振れる。ほとんどのカメラは明るいと+(プラス)側に振れるものなのだが、逆である。筆者の昔の記憶でも確かこうだったので、どうにも馴染めなかったことを改めて思い出した。もともとこういう作りなのかどうかは、ほかのボディを知らないので分からないが、メーターを頼りに露出を自分で合わせたい時に混乱する。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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