欧州パッケージツアーはどのように“仕掛け”られているのか?――クオニイ・ジャパン 松日樂優紀さん(前編)あなたの隣のプロフェッショナル(1/6 ページ)

» 2009年10月30日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

「あなたの隣のプロフェッショナル」とは?:

人生の多くの時間を、私たちは“仕事”に費やしています。でも、自分と異なる業界で働く人がどんな仕事をしているかは意外と知らないもの。「あなたの隣のプロフェッショナル」では、さまざまな仕事を取り上げ、その道で活躍中のプロフェッショナルに登場していただきます。

日々、現場でどのように発想し、どう仕事に取り組んでいるのか。どんな試行錯誤を経て今に至っているのか――“プロの仕事”にロングインタビューで迫ります。インタビュアーは、「あの人に逢いたい!」に続き、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏です。本連載では、知っているようで知らない、さまざまな仕事を取り上げていきます。


 最近では日本人もずいぶんと旅に慣れ、自ら海外のホテルを予約し、あるいは、それすらしないで海外へと飛び出していく人が増えている。

 その一方、旅行会社が企画している海外パッケージツアーも相変わらずの人気ぶりである。多くの人は海外パッケージツアーに参加したことがあるだろうが、それがどのようにして作られ、どのようにして管理・運営されているかを知っている人は意外に少ない。

 例えば、日本の旅行会社のパンフレットを見て、「ロマンチック・スイス・パリ」といったツアーに申し込んだ人は、そのツアーがその日本の旅行会社によって企画・運営されていると何の疑いもなく思うのではないだろうか? 確かにそういう場合もあるが、実はそうではないケースも多いのである。

 「では、どこの誰が一体どうやって?」

 その疑問に答えてくれるのが今回の登場人物、松日樂優紀(まつひら・ゆうき)さん(26歳)だ。

クオニイ・ジャパンの松日樂優紀さん

 「市場ニーズを踏まえて、新しいツアープランのアウトラインを日本の旅行会社さんがまず作ります。それを、弊社のような現地情報に精通した海外の旅行会社が具体化し、ホテル・レストラン・観光スポット・(往復航空機以外の)交通手段などの手配を行います。そして、そうやって商品化したツアープランを、弊社から日本の旅行会社さんに納品し、それが日本のエンドユーザーの皆様に販売されているケースが多いのです」

 さらに彼女は意外なことを述べる。

 「そのツアーが実施されると、出発から帰国までつつがなく旅程を消化できるよう、私たちが日々、現地とコミュニケーションを図ってサポートしています」

 このような業務を行う旅行会社を、「ランドオペレーター」と呼ぶという。特に世界各国に広範な支店網を持っていない旅行会社は、こうしたランドオペレーターの力を借りているケースが多いようだ。今回は、このように誰もがそれなりに知っていそうで、しかし思いのほか知らない海外パッケージツアーについて、その舞台裏のさまざまな努力や苦労を垣間見てみたいと思う。

 そして同時に、そうした業務を支える人材とは、いったいどんな経験やパーソナリティを持った人なのか。大学在学中からこの仕事に携わっていたという松日樂さんの人物像にも迫る。

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