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» 2009年10月28日 08時00分 UPDATE

-コデラ的-Slow-Life-:富士フイルム初の一眼、FUJICA ST701

筆者が中学1年生のころに買ってもらったFUJICA ST701。国産レンズとして評価の高いFUJINONレンズの描写を確かめるため、修理することにした。

[小寺信良,Business Media 誠]

 カメラ愛好者にとって、富士フイルムという会社はなくてはならない存在である。もちろんフィルムを手がけているメーカーということもあるが、FUJINONレンズはCanonレンズと並んで国産レンズとしてはまさに不動の位置を占めているからだ。

 筆者も実は、FUJINONレンズと一眼レフを持っていた。持っていたが、実はすっかり忘れていた。先日出張のついでに宮崎県の実家に立ち寄ったのだが、そこで出てきたのがこのFUJICA ST701である。「一体誰のカメラだ?」と家族一同首をかしげたのだが、何のことはない、よくよく思い出してみると、筆者が中学1年生で写真クラブに入ったときに買ってもらったカメラだった。いや、何かカメラを買ってもらった覚えはあったのだが、筆者はキヤノンのカメラだったと勘違いしていたのである。

ah_IMG1473.jpg 存在すらすっかり忘れていた、FUJICA ST701

 当時、父はPENTAXの一眼レフを大事に使っていたのだが、中学生のクソ坊主に大事なカメラを使わせるわけにはいかなかったのだろう。宮崎市内にあった中古カメラ店で、このFUJICA ST701を買ってくれたのである。アクセサリーシューがないと不便だろうということで、カメラ店のオジサンが別途シューを付けてくれた。今見るとNikomatと書いてあるから、これはNikon Nikomat用のアクセサリだったのだろう。FUJICAのファインダー脇には突起があって、純正以外のアクセサリは付けられないようになっているが、シューの横のところをグラインダーで削って付けられるようにしてある。なんとも強引な細工である。

ah_IMG1472.jpg アクセサリーシューはNikomatのものを無理やり装着

 FUJICA ST701は、1970年に発売された富士フイルム初の一眼レフである。軍艦部がシルバーとブラックの2種類があり、ブラックの方が多少高かった。もっとも買ってもらったのは1976年頃のことなので、発売から6年あまりも経過してからのことである。

 レンズマウントは汎用性の高かったM42で、当時はPENTAXも採用していた。M42マウントのボディとしては、一番小型だったようである。以前修理したPENTAX SPと比べてみると、高さはさほど違わないが、横幅が大幅に短い。一眼レフで小型設計と言えばOLYMPUSのOMシリーズだが、これと比較しても横幅はほとんど同じ、高さが若干OMのほうが低い程度だ。見た目はあまり小さく見えないが、確かに比較すると小型である。

ah_IMG1482.jpg ボディはM42マウントとしては最小

カビでダメにしたレンズ

 M42マウントのカメラは、数も種類も豊富なので、正直ボディのほうはそれほど価値があるようには思えない。しかしFUJINONレンズは当時から大判カメラなどで評価が高かったはずで、その描写はもう一度よみがえらせる価値はあるだろう。

ah_IMG1469.jpg FUJINONレンズはどのような描写をするのか

 付属レンズは55ミリ/F1.8の標準レンズである。PENTAXのSuper-Takumar標準と同マウント、同スペックであり、おそらく設計も近いだろう。ただこのレンズ、実は中学生時代にカビだらけにしてしまっている。

 レンズにカビが生えるなどというのは、よほど管理状態が悪かったとしか考えられないが、おそらく中古で購入したときからすでにカビの胞子がレンズ内に侵入していたに違いない。ただ当時は筆者の保管方法が悪かったということで、ずいぶん父親に怒られたものである。一度はクリーニングに出してきれいにしてもらったのだが、しばらくするとまたカビが生えた。

 また怒られるというのもシャクなので、結局そのまま放置して、写真クラブも1年で辞めてしまった。思えばこの時このレンズにカビさえ生えなければ、今頃は写真家として大成していたかもしれないと思うと、ちょっとうらみを覚えるレンズである。

 なおこのレンズはPENTAXと違い、AUTOとManualの切り替えがなく、自動絞りにしか対応しない。カメラ側の露出は、レンズ脇の絞り込みボタンを押している間だけ、ファインダー内でTTL測光を行なうという仕掛けである。

 さて、うまくよみがえらせることができるだろうか。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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