新宿の“文化遺産”……しょんべん横丁の秘密に迫る (1/3)
「思い出横丁」または「しょんべん横丁」の愛称で親しまれている新宿西口商店街。昭和の名残を色濃く酒場街だが、最近ではさまざまな変化が起きているようだ。
「思い出横丁」、もしくは、品はないが「しょんべん横丁」の愛称でも親しまれる新宿西口商店街。闇市にルーツを持ち、「昭和の名残」を色濃く残す郷愁の酒場街だ。手ごろな値段で飲める気軽さや人情味あふれる街並みに愛着を持つファンは多い。学生時代に訪れて以来、10年ぶりに寄ってみると、さまざまな変化が起きていることに気づかされた。しかも、そのメーンストリートとも言える「中通り」の不動産の所有状況を示す登記図面が「放射線状になっている」という奇妙なうわさまで聞きつけた。知られているようで、知られていない「異空間」の秘密に迫ってみた。
「こんな場所が日本にあるなんて」
「面白い飲み屋に行ってみるか」。10年前。当時、学生だった記者は先輩に連れられ、思い出横丁を初めて訪ねた。大都会・新宿の駅前にたたずむ横丁。通りをのぞき込むと、独特の哀愁が感じられ、少しドキドキしたことを思いだす。
肩を寄せ合い、詰めに詰めてやっと収まるぐらいの客席はすでに満席。あまりの手狭感に言葉を失いつつ、空席待ちと思った瞬間に「2階が空いてまーす」。従業員控室とも見まがう“客席”に案内され、思わず脱力した。
独特の味わいがあるもつ煮込みや焼き鳥が、山ほど運ばれてくる。真夏の暑さに多少ぬるく感じた瓶ビールを飲み干し、「横丁の醍醐味(だいごみ)」を満喫。最後に「手作りのサービス」と出された巨大なお握りに、完璧(かんぺき)にノックアウトされた。
ところが先日、先輩に連れられて久しぶりに横丁を訪ねると、何か雰囲気が違う。店構えではない。客層だ。かつて、店内でコップ片手に語り合っていたのは、サラリーマンとおぼしき人々が多かったが、明らかに外国人が増えている。
カウンター席で焼き鳥を食べている白人男性に声をかけてみた。
「こんな場所が日本にあるなんて驚き。いわゆる『ショウワ(昭和)のシタマチ(下町)』だろ?」。米国から来た学生、ダニエルさん(29)は、ビールで顔を赤らめながら話してくれた。「ここは口コミで知ったけど最高。ヤキトリもうまかった」
「下町」の解釈が正しいかは別として、横丁を堪能しているのは間違いないようだ。
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アットホームな雰囲気が漂う店内で肩を寄せ合う客。女性客の姿も目立った=22日午後、新宿区西新宿