「HOME'Sまちと住まいの研究室」室長、大出裕之氏が“まちと住まい”をテーマに執筆するコラム。気になるニュースや事柄、新商品や新サービスなどを取り上げ、住まいの専門家ならではの視点で語ります。
大出裕之(おおいでひろゆき):情報媒体や、PC・IT系メディアの編集を長年勤める。ついでにボランティアとして、東京商工会議所のプロジェクトXSHIBUYAを手伝い中。途中ネットベンチャーの起業などを経て、現在は住宅・不動産情報ポータルサイトHOME'Sにて、まちと住まいについてのWebメディアの運営や冊子の刊行などを行っている。「HOME'Sまちと住まいの研究室」室長。
自民党から民主党へ政権交代したことにより、民主党が野党時代に公約していたマニフェストや政策集が現実になることが真実味を帯びてきた。「すべての分野において、白紙に戻して検討し直す」との方針を受け、各分野で動揺が広がっているのは周知の通りだ。
住宅・不動産の分野も例に漏れず、たくさんの案件を抱えている。政権交代前夜の7月27日に発表された「民主党政策集INDEX2009」には、住宅・不動産分野のテーマが非常に多く盛り込まれている。
- 住宅ローン減税制度の見直し
- 相続税、贈与税改革
- 中心市街地、商店街の活性化
- 街のバリアフリー化
- 賃貸市場の活性化、家賃補助など
- 長期優良住宅の促進
- 既存住宅の記録管理、審査、診断などのシステム整備
- 建築基準法などの抜本的見直し
- 住宅建設にかかわる資格、許認可の整理・簡素化
- 木造住宅と国産材の振興
- 住宅の年間のエネルギー消費量表示
- 太陽光発電による電力の買取制度拡充
- 中古住宅を診断できる人(ホームインスペクター)の育成
- 1つの業者が売り主と買い主の両方から手数料を取ることの禁止
- ノンリコース型住宅ローンを利用しやすくする
ところが管轄である国土交通省が、「日本航空の再建」「八ツ場ダム工事の中止」「高速道路の無料化」と大きな案件を3つも抱えてしまったこともあり、この記事がアップされるタイミングではまだ手がつけられていない、というのが実情だろう。
とはいえ、掲げた政策をおろすと言っていない以上、何がしかの検討や業界・マーケットなどとの意見交換がこれから始まる可能性は高い。住宅・不動産マーケットは、法で規定される部分の比重が、自由競争の部分よりも大きい。立法と行政の方針から受ける影響が非常に大きいのだ。
民主党が政策を掲げるにあたって意見を参考にしたとされるさくら事務所の長嶋修社長は、個人向け不動産コンサルティング業のパイオニアであり、不動産流通の活性化につながるホームインスペクション(住宅診断)などを推進している。今回の記事では長嶋氏に、政策集の策定過程や意図などを聞いた。
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