好調な決算発表が続いているが、高値警戒感から手仕舞い売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年10月22日 08時27分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9949.36▼92.12

<NASDAQ>2150.73▼12.74

<為替:NY終値>90.96-91.02

好調な決算発表が続いているが、高値警戒感から手仕舞い売りに押されて軟調

 芳しくない決算も見られましたが総じて好調な決算の発表となり、金融機関やハイテク銘柄などを中心に買い先行となりました。ただ、ここのところ好決算が相次いで、素直に好感する動きから堅調な相場となっていたことに加え、午後にはベージュブック(地区連銀経済報告)の発表も控えて上値の重い展開となりました。それでも一時10100ドルを超えるなど堅調な地合いは続いたのですが、銀行株への投資判断の引き下げがあったことなどから引け際には手仕舞い売りがかさみ、ダウ、ナスダック共に軟調となりました。

 ベージュブックでも「全域で安定化もしくは緩やかに回復」と指摘されたようにV字型ではないにしろ景気回復が認識されているようです。企業業績も足元もしっかりとしており、先行きに対する楽観的な見方も広がっているようです。ただ、商品市況が堅調となっていることもこれまでは株式市場にとっても「景気回復の証拠」として好感されていましたが、原油価格がWTIの指標で1バレル=90ドルに乗せるようなことになるとさすがにインフレ懸念なども出てくるのではないかと思います。また、経済指標が予想されているように改善してこないと一気にセンチメントが下向きになってしまいそうです。

 個別には投資判断の引き下げのあったウェルズファーゴは大幅下落、予想を上回る決算を発表したにも関わらずウェルズファーゴに連れてJPモルガンチェースやバンクオブアメリカもさえない展開となりました。予想を上回る損失を発表したボーイングも軟調、年末商戦にかけて値下げに踏み切ると発表したウォルマートも軟調となりました。予想を上回る好調な決算を発表したサンディスクは大幅高、目標株価の引き上げが相次いだアップルは上場来高値を更新しました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場が軟調となったことから売り先行となりました。ただ、決算発表の本格化を前に好業績銘柄を中心に買戻しなどもあり底堅い展開となりました。外国人も買い越し基調となっており、持高調整の売りが一巡してちょっとした買戻しなどが見られると比較的値が軽く、指数も押し上げられて底堅くなったものと思われます。ただ、相変わらず市場参加者も限られているようで盛り上がりに欠ける展開でした。

 米国株が軟調となったのですが、日本市場は決算発表の本格化を控えて主要企業にも業績回復が取りざたされるものが多く、また、為替も円安に振れたことなどもあって底堅い堅調な展開となりそうです。政策の先行きが見えず、積極的には買い上がり難いのですが、さすがに業績上振れ期待も高まっており、ハイテク意銘柄などを中心に水準訂正の動きになるのかもしれません。ただ、米国でも金融株が軟調となったこともあり、日本市場でも金融株は売り先行となりそうです。原油や金など商品市況も引き続き堅調なことから上げ一服となっているような非鉄株や商社株などを改めて物色することになるのかもしれません。

 米国市場が軟調となったことで今日は上値が重そうで、日経平均は10200円台半ばの節目を確かめる場面もありそうですが、ハイテク銘柄など業績回復が見えて来た銘柄の水準訂正が起きれば決算発表を前に節目と見られる10500円〜600円水準を試す、あるいは抜けて来る可能性もありそうです。海外市場に比べて日本市場は政策の先行きが見えないことや予算凍結などもあり、出遅れていますが、業績の回復を織り込むように、底堅さを確認して戻りを試す展開となりそうです。

本日の注目点

◇9月の貿易統計(財務省)

◇8月の全産業活動指数(経産省)

◇9月の全国スーパー売上高(日本チェーンストア協会)

◇4−9月期決算:東京製鉄(5423)、MrMax(8203)、リコーリース(8566)

◇米マイクロソフト(MS)、パソコン用新OS「ウィンドウズ7」を日本など世界で発売

◇ECB定例理事会

◇8月の米FHFA住宅価格指数

◇7−9月期決算:米マクドナルド、AT&T、アマゾン・ドット・コム、スリーエム、ニューヨーク・タイムズ、UPS、ダウ・ケミカル、メルク、アルトリア・グループ、デルタ航空、USエアウェイズ、スイス・ネスレ、ノバルティス

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