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» 2009年10月22日 08時00分 UPDATE

劇的3時間SHOW:『モーニング』『ビッグコミックオリジナル』編集長が考える、売れる漫画の作り方とは (1/2)

島耕作シリーズなどで知られる漫画家の弘兼憲史氏は、JAPAN国際コンテンツフェスティバルのイベント「劇的3時間SHOW」に登場、『モーニング』の古川公平編集長、『ビッグコミックオリジナル』の吉野彰浩編集長とともに売れる漫画の作り方などについて語りあった。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 島耕作シリーズなどで知られる漫画家の弘兼憲史氏(62)は10月10日、JAPAN国際コンテンツフェスティバルのイベント「劇的3時間SHOW」に登場、『モーニング』(講談社)の古川公平編集長(51)、『ビッグコミックオリジナル』(小学館)の吉野彰浩編集長(49)とともに売れる漫画の作り方などについて語りあった。

 →『黄昏流星群』はサッチーの写真集を参考に――『島耕作』の弘兼憲史氏が語る

 →弘兼憲史氏&青年漫画誌編集長が語る、漫画編集者の仕事とは

ah_sanin.jpg 『モーニング』の古川公平編集長(左)、弘兼憲史氏(中央)、『ビッグコミックオリジナル』の吉野彰浩編集長(右)

学校の勉強を取り払える人が向いている

弘兼 売れる漫画を作るための方程式のようなものはあるのでしょうか?

吉野 まあ、あればちょっと教えていただきたいですね(笑)。ただ、思うのは編集者も漫画家さんもそうなのですが、学校でいろいろ詰め込まれた勉強を取り払える人、常識のようなものを取り払っていける人が向いていますね。

 それから願望に忠実な人。例えば『釣りバカ日誌』の主人公は、社長より釣りがうまいので師匠になれて、しかもちゃらんぽらんに働いているようでも、割と人気があってクビにならない。これはある願望の表現ですよね。こういう願望をうまく捕まえられる人が、優秀な編集者や漫画家になれます。

弘兼 与えられた仕事を忠実にこなしていくような人ではなくて、決まりなどから抜け出すような遊び心を持った連中じゃないとダメということですよね。この世界は別に偏差値が高いとか、東大を出ているとかはまったく意味がないし、むしろ落ちこぼれだった人の方が発想が豊かというケースはよくありますよね。

吉野 そうですね。ただ、校正で字を間違えられると困るので、国語の知識くらいは若干あってほしいですが。

古川 売れっ子になっていった漫画家さんには共通点があると思います。こういう話をやりたい、こういう絵を描きたいという思いを強く持って、編集者が何を言おうが、そこの信念をしっかり持った人が生き残っている気がします。漫画というのは誰しも真似から始まるわけですが、売れるためにはそういうオリジナリティがなかったらダメですね。

漫画のキャラクター作り

弘兼 漫画の場合はストーリーも大切なのですが、特に連載の場合は登場人物のキャラクターがいかに魅力的かということで、50%くらい面白さが決まってしまうというところがありますよね。

古川 20代〜30代の漫画家の一番よくないところは、漫画を読んで育ってきたために、ほかの漫画のキャラクターを自分の漫画のキャラクターにしてしまうことですね。実際に会った人や、小説や映画の登場人物などからキャラクターを作り上げるのだったらいいのですが、漫画を参考にするからほかの作品のコピーになってしまう。キャラクターの幅が狭くなってしまうんです。そういうことがあるので、若い漫画家には「人と会え」とか「映画を見なさい」と言っていますね。

 言葉で「やれ」と言ってもすぐにやれるものではないので、『モーニング』の場合は新連載の漫画を作るまでに1〜2年は準備しているんですね。だから、ウイスキー漫画をやることになったら、1年間ずっとウイスキーを飲んでもらったりします。そういうことをやっていかないと作品に幅は出てこないので。

弘兼 僕はキャラクターは重要だと思うので、その作り方をまとめてきました。まず、主人公は読者が感情移入できるキャラクターでないと難しいですね。例えば、『復讐するは我にあり』の主人公(連続殺人犯)のようなキャラクターが漫画の主人公だったらちょっと辛い。そういう主人公なりの作り方もあるのですが、基本的には感情移入できる性格、正義を貫いたり、乱暴者とか落ちこぼれでも、心根はやさしいところがないといけないのではないでしょうか。

 主人公が決まると、ライバルや脇役を作ります。島耕作シリーズの場合は主人公に強い個性がないので、脇を固めるキャラクターに強い個性をつけています。また、脇役は主人公と対照的にすることが大事です。見た目も性格も対照的にする。見た目には、長い髪に対して短い髪、長い顔に対して丸い顔、上がり眉に対して下がり眉、大きな目に対して小さい目というように明らかに分かる特徴を持ってくると作りやすいです。

 一番例になるのはお笑いのコンビです。巨人阪神や爆笑問題、中川家などを見ると、大きい小さい、丸い細いというように対照的な外見ですよね。プロデューサーなどが分かりやすい差があるように組ませたということもあるかもしれません。

 そしてシチュエーションの差ですね。正義と悪、強い人間と弱い人間、金持ちと貧乏、身分の高い人間と身分の低い人間といったものです。『ローマの休日』は立場が違う人間の恋愛ですし、宮本武蔵と佐々木小次郎も対照的ですよね。ちょっとダサいくらい逆のキャラクターを作らないと、どっちがどっちか分からなくなってしまうんです。

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