普段着は着物 “和”の人気サイトを運営する男の思いとは郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

» 2009年10月22日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]
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面白い、楽しい、気軽な和

 増田さんの股引姿で分かるように、彼が目指すのは堅苦しい和ではなく、面白い、楽しい、気軽な和。もちろん伝統や格式、礼儀作法などは大切だが、若い世代にとって和は「古きを訪ねる」だけではなく「新しいもの」という感覚がある。

 ある日曜日、私は和服姿の20代カップルを電車で見かけた。その姿は板についていた。2人を見て思った。着物には新鮮なテイストのデザイン、独特の着心地や肌触りがある。色柄をどうコーディネイドするか、洋服では体験できないワクワク感がある。

 着物を着ると、アクセサリーも変わる。女子ならカチューシャがかんざしとなり、ハンカチは手ぬぐいに、ネックレスは数珠に。男子は扇子と懐手(ふところで)姿だけでも『ヴィヨンの妻』(増田さん注目の映画)の浅野忠信さんになりきれる。着物は何度も仕立て直しができて、帽子や刺し子の材料にもなる。雑巾になるまで使い倒せるので“Mottainai”が注目される現代にもピッタリだ。

和は平和、調和、なごみ

 江戸時代に迷いこんだ脳外科医のドラマ「JIN -仁-」が人気だが、それは和の全盛期にタイムスリップして同化する楽しさがあるからだろう。「和の魅力って何でしょうか?」と増田さんに聞いてみた。

 「気持ちが落ち着くこと、ですね」

 和とは平和、調和、和みにも使われる言葉。スローな感じ、ギラギラじゃない落ち着いた色合いの世界、自然や祖先を崇める清々しさを意味する。日本や日本人をもっと良くするためのキーワードなのである。

 和の価値観に賭けて増田さんは会社を退職し、2009年11月に独立する。すでに和の暮らしを楽しむブログから発展した「ワノコト」を立ち上げ、和のメディアサイトの運営を開始した。思い切ったことだが、いけそうな感じはする。ぜひ社屋は古民家、社員全員が和服の会社を作ってほしい。売上計算はエクセルではなくて算盤で(笑)。私も着物でお邪魔するので。

ワノコト

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