芳しくない住宅指標や利益確定売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年10月21日 08時25分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10041.48▼50.71

<NASDAQ>2163.47▼12.85

<為替:NY終値>90.75-90.81

芳しくない住宅指標や利益確定売りに押されて軟調

 決算発表が本格化するなかで、決算動向を見ながら堅調なものも散見されますが、全体としては住宅着工件数が予想を下回ったことなどが嫌気されて軟調となりました。原油価格も上昇が一服とはなりましたが、株式市場と同様に利益確定売りに押されたと言う状況ではなく、堅調な地合いが続いていると見てもいいものと思います。ダウ平均も一時10000ドルと言う心理的な節目を割り込む場面もありましたが、基調は強含みで、押し目と見ると買いが入るような状況となっています。

 相変わらず芳しくない経済指標と好調な個別企業の業績とが交錯しています。それだけ、米国内の景気回復は思わしくなく、個別の企業は企業努力と海外でしっかりと利益を上げているということなのではないかと思います。ただ、住宅関連の指標にもかげりが見られることでリスクが許容できる投資資金、投機資金もどんどん増えるということでもなく、インフレ懸念がないことで金融緩和の出口戦略も取りざたされず、企業業績が回復すれば懸念材料である個人消費や雇用も回復するものと思われ、株式市場も商品市況もまだ強含みの展開が続くのではないかと思います。

 個別には予想を上回る決算を発表したアップルやキャタピラーが大幅高となり、決算の業績見通しが予想を上回ったテキサス・インスツルメンツも高くなりました。一方、売上高が予想を下回ったデュポンやコカコーラは売られ、利益見通しの引き上げのあったファイザーは堅調な始まりとなったものの、その後利益確定売りに押され、予想以上の決算を発表しながらユナイテッド・テクノロジーズは売られました。投資判断の引き下げのあったボーイングは大幅下落、レナーなど住宅関連の銘柄は軒並み軟調となりました。引け後に好決算を発表したヤフーやサンディスクは時間外取引では上昇しています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高を受けて買い先行となり、一時大幅高となるなど堅調となったのですが方向感はなく、一日の値幅が50円ちょうどと言う状況でした。漸く原油高などには反応したものの、半導体関連銘柄などの業績回復には反応が鈍く、政策の先行きが見えないことで疑心暗鬼になって、買い上がれないということのようです。一方で持高調整の動きはまだ若干続いているようで、為替などと関係のないところで、堅調となったり、売られたりするものあり、指数は全く方向感のない展開となりました。

 米国株は軟調となったこともあり、軟調な展開となりそうです。ただ、昨日も既に上値の重いような場面もあったことや米国市場の引け後に好決算も発表されており、軟調となっても底堅い展開となるのではないかと思います。決算発表を前に積極的な売り買いが手控えられている感じですが、本日も昨日までと同様に積極的な売り買いは多くは見られないものと思います。個別に決算の上振れが期待出来る銘柄や売られすぎ銘柄の買い戻し、堅調となっていた銘柄の利益確定売りなどが中心となりそうです。米国で商品価格が上げ一服となったことで、商社株などは利益確定売りに押されるかもしれません。ハイテク銘柄は業績上振れも期待され、底堅さも見られるのでしょう。

 日経平均は10200円台半ばの節目を抜けて来ました。今度はその水準も含めた10100円台半ばから200円台半ばの節目がサポートとなることを確認するような動きも見られるものと思います。上値の節目は10500円〜600円と言う水準ですが、業績回復を裏付ける決算の発表などが見られないとそこまで突っかけるような動きにはなり難いものと思います。政策の先行きが見えないなかで業績回復が確認されると言う状況であり、底堅いながらも積極的には買い切れず、指数は引き続き大きく方向感が出るようなこともなさそうです。

本日の注目点

◇FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)

◇西村日銀副総裁講演(神戸市)

◇10月の主要銀行貸出動向アンケート調査(日銀)

◇1−9月期決算:キヤノン電子(7739)

◇7−9月期決算:米ボーイング、イーベイ、コンチネンタル航空、モルガン・スタンレー、アメリカン航空、ウェルズ・ファーゴ、伊フィアット

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