米国株安などを受け一時大幅安となるも、買い戻しもあって底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年10月19日 16時44分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場が軟調となったことから売り先行となりました。為替が円安に振れたこともあり、底堅さも期待されたのですが、寄り付きからの売りが一巡した後も買い気に乏しい展開が続き、一時大幅安となるなど何とも買い気に乏しい展開が続きました。先週大きく売られたものは買戻しもあって堅調となるものも見られましたが、あくまでも売られすぎの反動に過ぎず、戻りも限定的、指数を押し上げるだけの力もありませんでした。

戸田工業(4100)が大幅高となりましたが、ある意味でこの株の動きが今の相場の傾向、動きを如実に表しているといえるでしょう。つまり、取りざたされた材料が特に目新しいものでもないのですが、突如テレビで放映されたということで買われ、買われたものだから、材料を探して改めて買い直し、買いが入って上昇するものだからとりあえず買ってみるような動きもあって大幅高となるのです。だからと言ってこの動きが明日も続くかといえばそうとも限らず、その日限りということが多いのです。

 株価の水準もほとんど関係なく、金利も為替も、業績すらも株価の動きにほとんど影響がないようなことになっています。上がるから理由を探して買う、売られるから理由を探して売る、ということが多く、買うから株価が上がり、株価が上がるから買う、そして次の日はまた値動きのいい銘柄を新たに探しにいく、と言うような状況です。相場全体の方向感も経済、景気の先行きも、金利も為替も関係のないような状況で「投資判断の引き上げ」だの、「新聞での観測記事」などに振り回されているようなことが多いのではないかと思います。

 戸田工業にしても結局大幅高と言っても、電池に絡む材料が出て大きく上昇した後はもみ合いとなっており、また、他の電池関連や素材関連に波及することもなく、相場全体としての盛り上がりもありません。こうした目先的な動きに振り回されても取ったり取られたりで労多くして儲けが少ないということではないかと思います。こうした時にこそ、材料が出たから買い、売るということではなく、「将来の業績面」などの改善や市況の回復から将来的に収益性が高まるような、そんな先を見ての投資が正解となって来るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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