インタビュー
» 2009年10月19日 08時00分 UPDATE

『闇金ウシジマくん』の関係者が語る、“優しい闇金”の真相(後編) (1/2)

かつて社会問題にもなったヤミ金だが、最近では鳴りを潜めているようにも感じる。しかしここ数年、水面下で“優しい闇金”と呼ばれる、新手の業者が増えてきているという。優しい闇金とはどのような手口で、お金を貸しているのだろうか。その正体に迫った。

[土肥義則,Business Media 誠]

 ここ数年、水面下で増えてきている“優しい闇金”(ソフト闇金)。10年ほど前から闇金問題の取材を続けているノンフィクションライターの窪田順生氏は、「ソフト闇金は急速に増えており、“市場”として成熟しつつある」と危惧する。

 なぜソフト闇金と呼ばれる業者が増えてきているのだろうか。その背景には法律によって、お金を借りられない人たちが増えてきていることと関係がありそうだ。

 →『闇金ウシジマくん』の関係者が語る、“優しい闇金”の真相(前編)

※本記事は10月13日に開かれたシンポジウム(早稲田大学消費者金融サービス研究所主催)にて、窪田氏が「闇金事情」についてまとめたものです。

警察を恐れないソフト闇金

yd_kubota.jpg ノンフィクションライターの窪田順生氏

――ヤミ金に関する報道が少なくなってきているように感じます。その要因はどこにあると思われますか?

 僕は、このヤミ金問題に関しては小学館の雑誌『SAPIO』や『週刊新潮』で書いてきた。しかし新聞記者やテレビ関係の人たちは、いまのヤミ金問題に対し、あまり関心を持っていない。ヤミ金といえば、被害者を身ぐるみはがし、風俗に売り飛ばす……といったイメージがある。しかしソフト闇金だと、せいぜい5〜10万円しかお金を貸していない。なのでマスコミも「誰が被害を受けているの?」といった感じで、“食いつき”が悪い。つまり被害額が少ないため、テレビや新聞はこの問題を取り上げにくいようだ。

――いまはどういったタイプのヤミ金が増えていますか?

 昔のヤミ金は水面あたりにいたが、いまは深い深い水の中に潜り込んでいるといった感じ。最近、活気づいているヤミ金といえば、水面あたりから水中に潜ってきた……トラディッショナルなヤミ金だ。

 僕は漫画『闇金ウシジマくん』のストーリー作りに協力している。主人公のウシジマくんは正規業者でありながら、ヤミ金業者のように振る舞っている。客が逃げるとつかまえて、縛って、竹刀で叩いて……といった感じでとにかくすごい。しかしウシジマくんのようなタイプは前近代的。実際、ヤミ金業者の人に『闇金ウシジマくん』を読んでもらったところ、「こんな人はいないよ」と言われてしまった(笑)。ウシジマくんのような正規業者でありながら、暴力的な取り立てを行うことは漫画の世界の話。現実は違う。

――ヤミ金を減らすにはどのようにすればいいでしょうか? 警察の取り締まりを強化すればいい、といった意見もありますが……。

 いきなり会社に電話をかけて返済を求めたり、ネットを使ってヤミ金をしている人は、警察を恐れているだろう。ただそれ以外のヤミ金は、警察を恐れていない。例えばソフト闇金の場合、彼らの言うことをお客がよく聞いてくれる。つまり“被害者がいない”といった状態なので、彼らは警察を恐れていないのだ。

 例えば、ある女性が覚せい剤の所持・使用で逮捕されてしまった。警察は彼女の携帯電話の記録を調べたところ、やたら連絡をとっている男がいた。警察は「その男が売人かもしれない」と疑いをかけ、動き始めた。そしてその男に話を聞いてみたものの、どうも売人ではない。しかし覚せい剤を使用するにはお金が必要なので、警察はその男が「ヤミ金業者」であることを感じとったのだ。

 警察は「お前、ヤミ金だろう」と問い詰めてみるものの、その男は強気な姿勢を崩さなかった。「ナニ言ってるんですか? 僕は彼女の友だちで、彼氏のことで相談を受けていたんですよ」と反論した。

 さらに「彼女は僕のことを何て言っているんですか?」と、警察に質問した。なぜその男は警察に対し強気でいられるかというと、彼女が裏切らないということを分かっていたから。その男は彼女に何年もお金を貸していたので、自分を裏切れば彼女はどうすることもできない、ということを分かっていた。つまりその男と彼女の間には、ヘンな信頼関係ができていたのだ。

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