米国株が堅調、為替も円安で買い先行で始まるも週末の手仕舞い売りに押されて上値が重く小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年10月16日 17時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株は何だかんだと言って堅調ですが、日本市場は依然として方向感のない目先の売買だけで何ともやる気のない相場となっています。先行きに対する見通しが何もたたないことで方向性が見えないということでしょう。また、バラマキ予算の財源問題などお金の流れが見えてこないことで、株式市場も債券市場もそして預金にまでもお金が流れず、さえない相場となっているものと思います。

 新政権の政策を見ていてお金の流れが見えないところが株式市場で盛り上がらない要因の一つではないかと思います。例えば公共事業は中止、といいながら内需拡大、雇用拡大というのですが、いったい何をしたいのかがわかりません。例えば「ハコモノ」を作るとすれば、そこで働く人には職が与えられ、材料を買えば鋼材などの需要が増えて鉄鋼会社が儲かる、そしてその「ハコモノ」の中で働く人や売店でものが売れるかもしれません。「内需拡大」というからにはもっと具体的に方向を示してもらわないと、株式市場でも反応しきれないということなのでしょう。

 また、ばら撒き政策だけでは株式市場の材料になり得ないということも、日本経済の方向性が見えないことで、投資先がわからないということになってしまうのでしょう。「公共事業中止」「内需拡大」「雇用創出」「子供手当て」「暫定税率廃止」「温暖化ガス25%削減」とマニュフェストに並んでいる言葉を見ても投資先や日本の行きたい方向が見えず、資金の出しようがないということでしょう。そして、先が見えないことで、投資を控え企業も個人もお金を貯め込むということになってしまうのでしょう。

 お金のある人もない人も、使えるお金のある企業もない企業もみんなで揃って同じ様にお金を生活をすることだけに使いましょう、と言われて、お金の使い道が見えず、そしてお金を「増やす」ことも必要ないというようなことになってしまっているのではないかと思います。ただ、企業業績の発表などを機に景気の回復を織り込むように、資金が流れてくれるといいのでしょう。政策に関係なく、資金の流れを作り、そしてその資金の流れを見極めて投資をしてもいいのではないかと思いますし、そのチャンスでもないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.