好調な決算発表も目先的な過熱感から上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年10月16日 08時45分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10062.94△47.08

<NASDAQ>2173.29△1.06

<為替:NY終値>90.54-90.6

好調な決算発表も目先的な過熱感から上値の重い展開

 朝方発表された金融機関の決算が予想を上回ったのですが、心理的な節目と見られるダウ平均の10000ドル乗せということもあり、目先的な達成感から利益確定売りに押されて軟調な展開となりました。ただ、景気回復期待が根強いことや新規失業保険申請件数が予想を下回るなど懸念されていた雇用に引き続き改善が見られることなどから、底堅く、原油価格が上昇となるなど引き続き商品市況が堅調であることから、最後は買い戻しや買い直しが入り堅調となりました。過熱感、達成感もあるのですが、好調な決算が相次いでいることから売り込み難いということなのでしょう。

 金価格が軟調となっても原油価格が高い、など投機的な資金が入っていると見られる市場でも資金の回転がうまく効いているようです。昨年とは逆のパターンで好循環となっているものと思います。根底には景気回復を織り込みに行く、ということで、決算動向も好調なことから株式市場や商品市場で利益を確保しながら「下がれば買い」と言う雰囲気になっているようです。金融機関の決算内容を懸念する向きもいるようですが、株式市況や商品市況の改善が景気回復に裏付けされたものでもあり、底堅い堅調な地合いが続くものと思います。

 個別には原油価格の上昇を受けてシェブロンやエクソンモービルが高く、指数を押し上げました。ゴールドマンサックスは予想を上回る決算を発表したのですが、利益確定売りに押され、シティグループも決算数字そのものは予想を上回ったのですが、引当金の高止まりなど内容が嫌気されて大幅安となりました。ノキアが赤字転落と伝えられて売られるなどハイテク銘柄は利益確定売りなどが優勢となっていました。引け後発表された決算が予想を上回ったことからグーグルは時間外取引で買われています。IBMも引け後の決算が予想を上回ったのですが、こちらは時間外取引では利益確定売りに押されて軟調となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅高となったことなどから、買い先行となり、大幅高となりました。ディフェンシブ銘柄の一角や銀行株などに軟調なものが見られ、「全面高」と言うわけには行きませんでしたが、外国人も大幅買い越しと伝えられたこともあり、持高調整の売りなどをこなしながら堅調なものも多くなりました。ただ、まだまだ腰の据わった買いも見られず、買い一巡後は上値も重くなるような状況で盛り上がりに欠ける展開となりました。

 米国市場が底堅く堅調となっていることで、日本市場も引き続き戻りを試す展開となるものと思います。為替が円安、特に対ユーロで円安が進んだことから、上げ一服となったような輸出関連銘柄などを物色する動きとなるものと思います。為替が1ドル=90円を超えると自動車株などを見直す動きとなりそうで、値がさ銘柄の上昇で指数は押し上げられそうです。一方で米国で金融株が好決算にも関わらず売られたことなどから、金融株の上値は重くなりそうです。原油価格が上昇していることもあり、商社株などの資源株は引き続き堅調となりそうです。

 節目と見られる10200円台半ばで上値を押さえられましたが、今日はその水準を抜けるのかどうかが注目されます。週末ということもあり、利益確定売りに押されて上値が重く、抜け切れない可能性も高く、10100円台半ばから10200円台後半の動きとなり、節目での上値の重さを確認することになるのかもしれません。円安を好感して値がさ銘柄が買われるようであれば、逆に10200円台半ばの節目をサポートとして強含みの展開となるのでしょう。持高調整の売り買いも一段落となった感もあり、為替などに素直な反応となるかどうかが注目されます。

本日の注目点

◇10月の月例経済報告(内閣府)

◇9月の米鉱工業生産

◇決算・4−9月期:安川電機(6506)

◇決算・7−9月期:米バンク・オブ・アメリカ、ゼネラル・エレクトリック

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