2008年9月以降の金融危機は、多くの投資家に衝撃を与えた。個人投資家たちの金融資産や投資に対する考え方はどのように変わったのだろうか。
野村総合研究所の調査によると、2008年9月から2009年3月までの不動産を除く金融資産の時価評価額の増減を尋ねたところ、マス層(本人と配偶者が保有する金融資産が合計3000万円未満)は平均16%減、アッパーマス層(同3000万円以上5000万円未満)は平均19%減、準富裕層(同5000万円以上1億円未満)は平均29%減、富裕層(同1億円以上5億円未満)は平均31%減、超富裕層(同5億円以上)は平均27%減となったことが分かった。
資産額が多いほど金融危機によって受けたダメージが大きくなる傾向にあるが、同研究所では「保有していた金融資産の種類が異なることからこのような差が現れたと考えられる」と分析している。
自分で管理・運用する金融資産に占める現金・預貯金の比率を聞くと、マス層は66%(2008年59%)、アッパーマス層は52%(2008年49%)、準富裕層は51%(2007年44%)、富裕層は42%(2007年39%)、超富裕層は37%(2007年23%)と、いずれの階層でも金融危機前より上昇している。野村総合研究所では「株式や投資信託など現金・預貯金以外の金融資産の時価評価額が下がったこと、金融危機を受けて資産ポートフォリオの見直しを図ったことの2点が考えられる」とコメントしている。
金融危機以後の金融機関の対応についてどのように感じているのだろうか。2008年9月以降の状況に関して、フォローに不満な金融機関があるという人は、マス層では34%、アッパーマス層では50%、準富裕層では74%、富裕層では74%、超富裕層では74%と金融資産が多い層ほど不満を持つ比率が高かった。
不満の内容に関しては、マス層では「連絡や訪問がなかった」、アッパーマス層では「具体的な対策や運用方針のアドバイスがなかった」がトップだったが、準富裕層、富裕層、超富裕層では「経済や金融商品の動向に関する専門的な知識が不足していた」がトップだった。
郵送などによる調査で、対象は1769人。調査期間は3月30日から4月30日、および7月15日から8月12日。
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