明日から始める! 初めての自転車通勤(1)楽しく手軽に運動不足を解消(2/3 ページ)

» 2009年10月15日 06時00分 公開
[西幡治美(金森マーケティング事務所),Business Media 誠]

ママチャリとスポーツバイクの違いはどこ?

 本格的な自転車の経験がなくても、いわゆる“ママチャリ”“シティーサイクル”(以下「ママチャリ」)に乗ったことがない人はほとんどいないのではないだろうか。自転車の中でもっとも普及し、もっとも身近な存在、それがママチャリだ。

 「会社に自転車で行くのに、ママチャリじゃいけないの?」そう思う人は多いと思う。結論からいえば、ママチャリで疲れずに行ける距離ならそれでいい。それ以上遠くへ行くなら、スポーツバイクを買うことをお勧めする。

 ママチャリとスポーツバイクはどこが違うのか? その違いを簡単にいうなら、「チャリに体を合わせるママチャリ、体と目的に合うものを選ぶのがスポーツバイク」ということになる。既成のスーツと、オーダーメードのスーツ。着心地や見た目が良いのはどちらだろう?……自転車でも同じことだ。

 ママチャリはちょい乗りには非常にいい乗り物だと思う。手軽に購入でき、荷物も載せられる。サドルも柔らかい。

 しかし、ちょっと遠乗りをするとどうだ。走行距離が増えるにつれて、体力的にも自転車的にも、キツくなってくるはず。確かにママチャリは買いやすい価格を維持するため、どうしても重量がかさむことが多い※。ママチャリに長く乗ると疲れる、それにはれっきとした理由がある。

※車体が重い自転車は動かすのにより大きな力が必要なため、疲れやすい。しかし自転車の車体を軽くと、値段が高くなる。これはママチャリにもスポーツバイクにも共通して言えることだ。

 自転車の面白さ、楽しさを伝えるべく全国を飛び回る御子柴頼信さん(ダイワ精工のサポートライダー、チームコラテック所属)に、その違いを聞いてみた。

 「スポーツバイクはママチャリと比べてとても軽く、快適に進みます。慣れれば制御しやすく、正しいサイズを選べば、身体の一部のようになじみます。パンクなど万が一のトラブルにも、自分で対応できるのがスポーツバイクの良いところ。ママチャリでは後輪一つ外すにも工具や多くの時間が必要になってしまいます。(スポーツバイクの場合)荷物は背負わなくてはいけませんが、結局このほうが安定感があるんですよ。ぜひスポーツバイクを試してください」

ママチャリはなぜ疲れやすいのか

 なぜ、ママチャリは楽そうに見えて疲れるのだろう。その理由の最たるものは「乗車時の姿勢」にある。

 サドルにどっかりと腰掛け、背筋をまっすぐにしてペダルを踏む事で進むママチャリ。上半身の加重はすべて腰にかかり続ける。

 それに比べ、スポーツバイクの乗車姿勢はどうだろう。前傾した姿勢は、座面とハンドルが同じ高さ。ママチャリに慣れた者にとっては異質に見えるが、この姿勢こそが上半身の重さを腕、そして腰と分散させ、体を楽にする。ぺたんこのサドルはペダリングする際に効率よく力を伝えるため。うまく体重が分散され、ペダリングがスムーズであれば座面のクッションは不要になる。自転車と身体は一体となり、スピードも楽に出るというわけだ。

ママチャリとスポーツバイク(ロードレーサー)では乗車姿勢がまったく違う。ママチャリに乗る人は、背中は地面に垂直になり、加重がすべて腰にかかる。スポーツバイクに乗る場合、体は前傾姿勢を取り、上半身の重さは腕や腰に分散される

 また、ママチャリはたくさんの荷物を積んでも安全に動けるように車体も重い。スポーツバイクが「長く、速く、快適に」という考えで作られているのに対し、ママチャリは「近場を、ちょこちょこ、便利に」というコンセプトで作られた乗り物なのだ。

 そう、ママチャリとスポーツバイクは、ほぼ別物と言っても過言ではない。例えれば、荷物の上げ下ろしに便利な軽トラックと、しなやかにコーナーを駆け抜けるスポーツカー。数キロから数十キロを毎日往復する自転車通勤に適した自転車がどちらかは言わずもがな、だろう。

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