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» 2009年10月08日 10時20分 UPDATE

CEATEC JAPAN 2009:シャープもパナソニックも 家庭内の直流化はなるか?

家庭に入ってきた太陽電池の次は、その電力を貯めるバッテリー。それに歩調を合わせて導入の検討が進むのが、家庭内の機器を交流から直流に変えようという動きだ。論点と課題をCEATECで聞いた。

[斎藤健二,ITmedia]

 鳩山由紀夫首相が打ち上げた温室効果ガス1990年比25%削減の目標を受けて、各社で“エコ”への取り組みがさらなる盛り上がりを見せている。その1つが、家庭内の電化機器を現在の交流電源(AC)から直流電源(DC)に置き換えるという“家庭内直流化”の動きだ。

 CEATEC JAPANのブースでは、シャープが家庭内家電すべてを直流化する「ソーラーDCエコハウス」を2015年に実現するとデモを行い、パナソニックも「DCを家庭内に」と取り組みを展示している。

シャープがブースで行っているショー。家庭内を直流化して省エネ、そして太陽電池による発電でクリーンなエネルギーを生み出すことで、差し引き“家全体のCO2排出量実質ゼロ”を2015年に目指すという

交流から直流への変換ロスをなくすことで省エネ化

 両社が直流化を推進する背景にあるのは、交流から直流への変換ロスをなくすことで省エネ化が図れるという点だ。家庭内の機器は最終的に直流で動くものが多いが、コンセントに来ているのは交流(交流となった理由は「“直流電化エコホーム”とは何か?」も参照)。それぞれの機器の内部で交流から直流に変換しているのが現状だ。

 「テレビの中には大きな(交流を直流に変換する)ACアダプタがたくさんはいっているようなもの」(シャープ)

 各機器が個別に変換するのではなく、家庭内の1カ所でまとめて変換すれば効率がアップする。「交流から直流に変換すると一般的には70〜80%くらいの効率。まとめて変換すれば90%くらいの効率になる」(パナソニック)

太陽電池をさらに活用する家庭内バッテリー

 直流化推進のもう一方の観点は、政府が補助金の復活などで後押しする太陽電池との相性だ。太陽電池自体が発電するのは直流。現在、家庭用の太陽電池では、直流電力をいったん交流に変換している。

 しかし太陽電池が生み出す電力を直流のままバッテリーに保存、バッテリーから直流電力を取り出してそのまま使うことができれば、日中生み出した電力を夜間に使うことも可能になる。太陽電池と直流の相性の良さも、シャープが家庭の直流化を推す理由だ。

tyoku0.jpg シャープブースの模様。ブースの左右には太陽電池を配し、天井の照明にはLEDを用いている
tyoku2.jpg パナソニックの家庭内システムの図。電力会社から送られてくる交流電源と、太陽電池が生み出したりバッテリーに貯めた直流電源の2つを、パワーステーションと呼ばれるコントロールシステムで統合し、機器に送る

家庭内送電の電圧は? コンセントの規格は?

 一方で家庭の直流化には課題も多い。家庭内の直流送電の電圧をどうするか、機器と接続するプラグの形状をどうするかなど、規格面での課題がその1つだ。

 家庭内の交流電源は100ボルト、50または60Hzで供給されているのはご存じの通り。送電規格がそろっているから、どんな機器でも安心してコンセントに接続できる。では直流ではどうか。「一般的に(送電の)効率がいいのは300〜400ボルトだろう」とシャープ。一方でパナソニックはデモで48ボルトを想定した。「60ボルト以下であれば(感電事故などがあった場合も)安全だと考えている。24ボルト程度という案もあるが、将来、モーターなどを使う大型家電が直流化されたときに出力が足りなくなる可能性がある」(パナソニック)

 パナソニックでは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と、住宅内交流・直流配信システムによる省エネルギー効果の実証事業を計画してり、ここでも48ボルト以下を使って試作を行う。

 家庭内送電の規格が定まらなければ、直流対応家電の開発も進まないというわけだ。

tyoku1.jpg 各機器に接続するときのコンセントの規格も課題だ。パナソニックは48ボルト電源の直流用コンセントも展示した

 機器の直流化も課題だ。各機器が内部的に直流を使っているといっても、その電圧はかなり異なる。携帯の充電器やUSBなどは約5ボルトだし、PCなどでは16ボルト程度。結局は機器内かアダプタ部分に昇圧/降圧回路を組み込まなくてはならない。

 LED照明やデジタル機器などは直流対応が早くから進みそうだが、エアコンや洗濯機などモーターを使う機器は直流化が遅れるだろう。裏を返すと家庭内の電力消費の多くを占めるテレビ、エアコン、冷蔵庫、照明などのうち、当初は照明くらいしか直流化による効率化の恩恵を受けられない可能性もある。直流化に必要なシステム投資が必要な割に、家庭全体の消費電力の大幅な削減につながらない可能性がある。

 シャープは「2015年に、すべての家庭内機器を直流化できる技術的な目処はついている。課題は規格などの調整だ」と話す。パナソニックも技術的な課題というよりも、各所を一斉に直流に置き換えなくてはいけないというシステム面が問題になると言う。「(直流化は)住宅よりも、システムが一斉に導入できるビルなどのほうが早く導入が進むかもしれない。企業のCSR的な観点でも直流化はアピールポイントになる」(パナソニック)

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