予想を下回る経済指標やインフレ懸念から売られて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年10月01日 08時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9712.28▼29.92

<NASDAQ>2122.42▼1.62

<為替:NY終値>89.69-89.75

予想を下回る経済指標やインフレ懸念から売られて軟調

 米GDP(国内総生産)改定値は上方修正となりましたが、依然として官需や外需に頼っていることから買い先行となったものの上値の重い始まりとなりました。その後シカゴ購買部景気指数や民間調査の雇用レポートが予想を下回ると売り急ぐ展開となり大幅下落となりました。売り一巡後は原油や金が急騰したことから連れて買戻しも交えて堅調となる場面もあったのですが、今度は逆に景気の回復が追いつかないところでの商品高ということで、インフレ懸念、スタグフレーション懸念が台頭、手仕舞い売りがかさんで軟調となりました。

 経済指標が芳しくないことから景気回復のスピードが鈍っているのではないかとの見方も出ているようです。一方で原油価格など商品価格の上昇もこれまでは景気回復と連動していると思われていたのですが、商品の上昇と景気回復の度合いのギャップが気になりだして、インフレ懸念、スタグフレーション懸念が出てきたのではないかと思います。投機的な動きで商品市況が景気回復の度合いに対して上がりすぎると利上げ時期が早まってしまうのではないかと懸念も出ているのではないかと思います。引き続き雇用や個人消費などの動向が注目されます。

 個別には連邦破産法適用申請の可能性が報じられたCIT(ノンバンク)が大幅下落、連れてJPモルガンチェースやバンクオブアメリカなど金融株が軟調となりました。投資判断の引き下げや個人消費の回復の鈍さが嫌気されてターゲット(ディスカウントストア)も安く、増資の発表があったサックス(百貨店)も大幅安となりました。一方、前日の引け後に予想を上回る決算を発表したナイキが大幅高、業績見通しが予想を上回ったジヤビル・サーキット(電子機器の製造受託サービス)も堅調となり、インテルやシスコシステムズなどハイテク銘柄に堅調なものが見られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は月末、期末の「お化粧買い」も期待されましたが、円高一服となったにも関わらず小動きとなりました。米国株が軟調となったことは前日の戻りが鈍かったことや外国人が買い越しと伝えられたことで相殺されましたが、積極的な売り買いは手掛かり難から乏しく、指数は小動きとなりました。先物のまとまった売り買いに振らされることもなく狭い範囲での動きが続き、最後の最後は「お化粧買い」が見られたのですがそれ以外にはまとまった買いもなく、方向感のない上値の重い展開となりました。

 米国株が軟調、シカゴ市場(CME)の日経平均先物も一時10000円を割り込むなど軟調となっていることから、再び下値を確認する動きとなりそうです。商品市況が上昇していることで、資源株や非鉄株が下支えとなりそうですし、円高も一服となっていることで、ハイテク銘柄など輸出関連銘柄をむきになって売り叩くこともなさそうです。一方でリコール問題や米国景況感の悪化などから自動車株などは売りが優勢になる可能性もあり、引き続き金融株なども増資懸念などで買い難いのでしょう。日銀短観が発表になりますが、特に大きく材料視されることはないかと思います。

 節目と見られる10150円〜250円の水準まで戻り切らず、戻りの鈍さを嫌気する動きも出てきそうです。下半期入りということで、ディーラーなどは動き易く売買高は盛り上がってくる可能性もありますが、引き続き10250円をしっかりと抜けて来るまでは押し目確認とはいかないものと思います。逆に上値の重さが再度確認されるようであれば、10000円を割り込んだところでも徐々に買い戻しも減り、いったん下値を窺うことになりそうです。それでも本日はまだ10000円を割り込むところでは買い戻しや押し目買いも入って来るものと思います。

本日の注目点

◇9月の日銀短観

◇8月の商業販売統計速報(経産省)

◇バーナンキ米FRB議長が議会証言(下院金融サービス委)

◇9月の米ISM製造業景況感指数

◇9月の米新車販売

◇8月の米個人消費支出

◇8月のユーロ圏失業率

◇決算・3−8月期:セブン&アイ・HD(3382)、しまむら(8227)、ハイデイ日高(7611)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.