まるで“HVとEVの見本市”――フランクフルト国際モーターショーを見てきた(前編)松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2009年09月30日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

ドイツにおける日本車の評判

 今回のIAAにはホンダ、日産、三菱といった世界的な日本メーカーが経費削減のため出展を見合わせた。ドイツにおける日本車の存在感は決して小さいわけではなく、これからという時期だけに残念だ。

 日本車を愛用するドイツ人は結構多い。「リーズナブルな価格で品質が高い」という肯定的な意見をよく聞くし、乗り降りのしやすさ、メーター類の表示の見やすさなど、誰にでも使いやすいユニバーサルデザイン的な工夫が行き届いているのも日本車の特徴である。こういった工夫は特に高齢者のことを考えてだと思うが、日本ほどクルマのユニバーサルデザインに注力している国はない。

ハイブリッド車倍増

 筆者の感覚からするとドイツ内を走る日本車はかなり多いが、ドイツへ来たばかりの日本人からは「日本車はずいぶん少ない」とよく言われる。話を聞いてみると、例えば日本車が多く走る北米の状況と比べてのことらしい。

 ドイツ連邦自動車局(KBA)の最新統計資料(表1)によると、2009年8月の新車登録(27.5万台)のうち日本車は12.2%。ドイツ車(56.4%)、フランス車(14.4%)に次ぐ第3位のシェアを誇っている。日本車は前年同月比でも52.7%増と堅調だ。

 増加率が最も大きいのは韓国車。名前は出ていないが、韓国車の大部分を現代自動車が占め、IAAでも大きな展示スペースを取っていた。現代自動車はCMにも力を入れており、着実に売り上げを伸ばしている。

 この統計資料には、さらに車種別、燃料・動力別のデータも掲載されている。車種別のデータには消費者の小型車志向がはっきり現れ、スポーツ車、キャンピングカーといった生活に直結しないクルマが買い控えられている。

 燃料・動力別のデータを見ると、燃料別ではガソリン車のひとり勝ち。また、台数こそ少ないがハイブリッド車が爆発的に増加している様子もうかがえる。

(表1)2009年8月のドイツ国内の乗用車新車登録台数

台数(2009年8月) 割合(%) 前年同月比(%)
乗用車全体 27万5219 100.0 +28.4
メーカー国別
ドイツ車 15万5215 56.4 +12.3
フランス車 3万9569 14.4 +73.1
日本車 3万3506 12.2 +52.7
チェコ車 1万3314 4.8 +48.9
イタリア車 1万1564 4.2 +55.6
韓国車 1万1116 4.0 +95.1
スペイン車 5229 1.9 +36.4
米国車 3285 1.2 +19.2
スウェーデン車 1252 0.5 −25.0
英国車 668 0.2 −11.3
車種別
ミニ 2万6764 9.7 +80.6
小型車 6万5365 23.8 +63.3
コンパクトクラス 8万4292 30.6 +45.7
中型クラス 3万1928 11.6 −14.3
中大型クラス 7481 2.7 −6.7
大型クラス 1239 0.5 −19.5
オフロード車 1万6787 6.1 +15.0
スポーツ車 1930 0.7 −39.5
バン 2万4835 9.0 −1.9
多目的車 1万2869 4.7 +29.2
キャンピングカー 992 0.4 −6.6
燃料・動力別
ガソリン車 19万4433 70.6 +55.6
ディーゼル車 7万8514 28.5 −9.4
液化ガス車 746 0.3 −47.1
天然ガス車 615 0.2 −37.2
ハイブリッド 893 0.3 +111.1
シトロエンのレーシング・ハイブリッドカー「C4WRC Hybrid 4」(左)、ZF社のハイブリッドモーター(右)

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