コラム
» 2009年09月28日 09時56分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:「コイケ先生」こと阿部サダヲは、誰に語りかけているの? (1/2)

湖池屋のCMで、コイケ先生こと阿部サダヲはこう言う。「リッチは英語だ、コンソメはフランス語だ。おかしいよな。自由でいいんだよ。若者はもっと自由でいいんだよ。ほら言ってごらん!」と。とある中学校を舞台に話すコイケ先生だが、一体誰に語りかけているのだろうか。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年9月25日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 落ち込んでいる真面目そうな女子生徒を励まそうとする先生。湖池屋のポテトチップス「リッチコンソメ」味を手に、声をかける。「リッチは英語だ、コンソメはフランス語だ。おかしいよな。自由でいいんだよ。若者はもっと自由でいいんだよ。ほら言ってごらん!」

 湖池屋ポテトチップスのCMは、とある中学校を舞台に、ポテチ好きの「コイケ先生」と、生徒や同僚の教師との日常を描くシリーズ。ユーモアたっぷりで、熱く、魅力的なコイケ先生を個性派俳優、阿部サダヲが熱演している。

 昨年は放送批評懇談会主催のギャラクシー賞CM部門で優秀賞を受賞、各メディアでも「物語に引き込まれていく」(日本経済新聞)「実在したら記憶に残る先生になるだろう」(読売新聞)など、評価は高い。

 実際に売り上げにも反映されているようで、2009年8月7日付日経MJは「売り上げは過去最高を記録、湖池屋ではCM効果が大きいと見ている」と報じている。

 同社のCMといえば、「ヒーヒーおばあちゃん」のカラムーチョや、「ポリンキー劇場・三角形の秘密はね」のポリンキー、「ドンタコスったらドンタコス!」のドンタコス、「スコーンスコーンコイケヤスコーン〜♪」のスコーンなど、ユニークなCMは枚挙にいとまがない。

 一連のCMと商品の連携は、同社の開発したユニークな商品をさらにユニークなCMで告知して盛り上げるという構図になっており、括弧書きしたように、キャッチコピーやフレーズが極めて分かりやすく、思わず口ずさんでしますのが印象的だった。

 しかし、「コイケ先生」は少々様相が違うように思われる。

 商品はド定番商品のポテトチップスだ。1962年に湖池屋が全国で初めて量産化に成功した由緒正しい商品であるが、もはや独自性も新規性もないことは明らかである。CMの「コイケ先生」は、従来のオリジナルキャラクターで目をひいたり、印象的なコピーやフレーズで話題をさらうものでもない。コイケ先生を中心とした生徒や教師同士のやりとりを見て、少し考えさせてニヤリと笑わせるタイプの内容だ。からっと分かりやすいというより、どちらかというと少々ネチっこくてクセになるCMだと言える。つまり、「コイケ先生」シリーズは、従来と全く異なる商品とCMの連携パターンを展開しているのである。

 なぜだろうか。

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