戻りガツオの様子がおかしい
このままでは三陸沖で戻りガツオが獲れなくなるかもしれない、といった声が漁業関係者から出ている。大衆魚として“親しまれてきた”カツオに、何が起きているのだろうか?
大衆魚として「お前は大丈夫だろう」と思われがちなカツオ。ところが、発展途上国向けの食料として乱獲され、資源として黄信号がともり始めている。熱帯が出生地のカツオが北の海から姿を消し、三陸沖で戻りガツオが獲れなくなってしまうかもしれないというのだ。
米韓台などの乱獲で
国際連合食糧農業機関(FAO)などの統計では、1970年に50万トン以下だった世界のカツオ漁獲量は現在、5倍の250万トンに急増。漁業関係者によると、米国、韓国、台湾などの巨大な巻き網漁船が乱獲し、タイへ運んで缶詰めに加工。主に途上国用の食料として流通し、需要は右肩上がりだという。
水産庁がまとめた「国際資源の現況」によると、カツオは大西洋とインド洋、太平洋と、いずれも資源水準は「高位」、資源動向も「増加」か「横ばい」で、「資源は豊富」との見解だ。
しかし、茨城大地域総合研究所の二平章客員研究員は「漁師は10年以上前から『黒潮で北上するカツオの様子がおかしい』と訴えていた」と警鐘を鳴らす。
「漁獲量が極端に減少していないのは逃がしていた小型まで獲るから。以前は3、6歳が漁獲の中心だったが、今は2、3歳。熱帯域での異変が徐々に表面化している」
二平氏は茨城県水産試験場に35年間勤務。カツオ研究の第一人者だが、以前はマイワシの研究にも取り組んだ。一時は日本の総漁獲量の40%を占めたマイワシは、一大水揚げ拠点だった釧路沖から姿を消した。二平氏は「カツオもマイワシと似た経緯をたどるのではないか」とみている。
「西部太平洋のカツオ資源が極端に減少すれば日本近海から姿を消すかもしれない。そうするとトロガツオとも呼ばれる脂の乗った三陸沖の戻りガツオが最も影響を受ける」(二平氏)。冷たい海域を泳ぐために脂肪を蓄積した9−10月の戻りガツオは絶品なだけに、日本人の一大事だ。
乱獲がさらに進めば、カツオそのものの絶滅すら危ぶまれ、途上国の食糧事情も悪化する。二平氏はこのほど発表したリポート『カツオの回遊生態と資源』で、「国際的な漁業管理体制が必要」と訴えている。
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