コラム
» 2009年09月15日 08時00分 UPDATE

企業の開業率、廃業率に見る日米経済の差

総務省の調べによると、日本の企業の開業率、廃業率は1991年以降廃業率が開業率を上回る状況が続いている。一方、米国では開業率、廃業率ともに日本より高いものの、開業率が上回っているようだ。

[洲崎智広,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

洲崎智広(すざき・ともひろ)

アイ・コーリング社長。CSKベンチャーキャピタル会社に入社、ベンチャー企業投資業務を行い、株式公開実績を持つ。東証一部企業の経営企画室など実務経験を経て、IPOコンサルティング、ファイナンシャルコンサルティングのアイ・コーリングを設立。

東証マザーズ上場企業(フェブリナ)の監査役を現在兼務。また、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)助成金審査委員、および独立行政法人中小企業整備基盤機構アドバイザーも務める。


 総務省の調べによると、日本の企業の開業率、廃業率は、1991年以降廃業率が開業率を上回る状況です。

 具体的には、(少し古いデータですが)2001〜2004年の廃業率は6.1%、これに対して開業率は3.5%しかありません。ちなみに米国は開業率13〜14%弱台をキープ、廃業率は12%台をキープし、かろうじてですが開業率が上回っています。数で言うと、2004年の米国の開業数は58万900件、廃業数は57万6000件です。

 単純比較は一概にできないものの、米国は日本に比べると事業欲旺盛で、その分消えていく企業も多いものの、ほんのわずかであるが生き残っている企業が多い、と見てとれます。

 全ての開業者が雇用を創出しているとは限りませんが、少なくともこの中から成長発展していく企業も当然あるわけです。そのような意味においては、新しい雇用を増やす機会が、米国の社会に根付いていることが考えられます。

 ちなみに、以前の日本はどうだったか、というと統計が始まっている1981年の開業率は7.2%、廃業率は3.7%です。ご承知の通り、日本経済は右肩上がりだったので、この数値自体は不思議ではないかもしれませんが、雇用創出にそれなりの貢献があったのでは、とうかがえます。(それとも、今の米国は高度成長期の日本よりも事業欲旺盛と取れるのかも?)。しかし、バブル経済崩壊後以降はずっと、日本はやや下を見ながら歩いてきたのではないでしょうか?

 少しうらやましいのは、リスクを取ってでも積極的に起業、創業する人々が米国にはかなりの確率でいる、ということです。これは単純に雇用創出だけでなく、経済そのものを活性化させる要因となります。

 みなさんが使っているgoogleの創業は1998年9月7日、つまりまだ11年しか経っていないのです。しかし、世界中に1万人以上の従業員がいるわけですから、これは経済にとってはものすごい効果です。

 日本も1946年に創業したソニーや本田技研工業のように世界に通用する企業を輩出してきたのですが、つい最近創業した企業で世界的に成功している日本企業はどこがあるでしょうか? 

 ソニーやホンダまでの規模にはならなくても、新しい産業や新しい事業を創出するということは、雇用創出にとどまらず、国、あるいは国を越えて大きく経済を活性化させる原動力となります。そういった意味では、今、元気のない日本にとって、新興産業の創出、事業の創出は急務ではないだろうか。そうしなければさらに厳しい現実が来ることになるのでは、と考えています。(洲崎智広)

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