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» 2009年09月15日 08時00分 UPDATE

-コデラ的-Slow-Life-:Yashinonレンズの威力を垣間見たElectro 35 GT(S)の描写

一通りの修理が終わったElectro 35 GT(S)。テスト撮影してみると、一眼レフ並みの描画と深度表現に驚いた。

[小寺信良,Business Media 誠]

 一通りの修理も終わったので、テスト撮影に出かけてみた。Electro 35の露出状態は、シャッターボタンの半押しで分かる。何も表示が出なければそのまま撮れるし、オーバーやアンダーの場合はファインダー内のランプが点灯する。いや、警告ランプが付いても、そのまま強引にシャッターを押し下げれば撮れてしまうのだが。

 →時代を作った“電気”カメラ YASHICA Electro 35 GT(S)

 →難しさの質が違うElectro 35 GT(S)の修理

 もちろん昨今のカメラではないので、シャッター半押しにクリック感があるわけではない。要するにシャッターのストロークがすごく長く取ってあって、実際にシャッターが切れるまでに表示が出るようならばそこから引き返し、絞りを変えてもう一度半押しして様子を見る、という実におおらかな作りである。だから実際にシャッターを切るには、相当ボタンを深くまで押し込まなければならない。

 そんなわけで近所を徘徊してフィルム1本分撮ってみたが、現像から上がってきたフィルムをスキャンしてビックリ、なんとフォーカスが全然合っていない。

ah_img027.jpg 最初のテスト撮影。フォーカスが全然合っていない

 いくら同じカメラとはいえ、レンズを取り替えてしまっているので、イヤな予感はしたのだが、やはりちゃんとフォーカス調整をしないとダメということである。実は前回フォーカス調整で失敗しているので、あんまりいじりたくなかったのだが、まあ仕方がない。改めてフォーカスの調整を行なった。

 フォーカスの調整は、無限遠にした状態でバルブ機能を使ってシャッターを開きっぱなしにしておき、背面のフィルムが通る部分にトレーシングペーパーなどを貼り付けて、そこにきれいに結像するまでフォーカスリングの固定位置をずらしていく。前回はこれをやっているうちに、フォーカスリングが斜めに引っかかって、そのまま動かなくなってしまったのである。

 今回は慎重に作業を進めたが、あともうちょっとで無限遠というところで、ヘリコイドのはじっこまで来てしまった。これ以上はどうやっても回らないので、修理としては不完全である。しかし、近距離ならばだいたい合うようだ。このままではもったいないので、近景を中心に再びテスト撮影してみた。

一眼レフ並みの描画

 現像から上がって来たフィルムを見て、今度は逆の意味でビックリした。実際の絵を見ていただければお分かりかと思うが、その描画と深度表現は、まさに一眼レフ並みである。

ah_img011.jpg レンジファインダーながら、レンズの描写力は一眼レフ並み

 フォーカスに若干の不安があるので、絞り目に撮影したつもりだが、それでも結構深度が浅い。発色、描画ともに、約40年前のレンズとは思えない。

ah_img032.jpg 発色、描画力ともに十分

 でっち上げの電池で動かしていた露出計もちゃんと動いている。ただ逆光では、若干アンダーになるようだ。当時は撮影の作法として、逆光では撮らないということが民間のお約束になっていたので、まあこういうものなのだろう。AEシフトのような機能はないので、どうしても露出補正したい場合は、フィルム感度をずらすことになる。

ah_img055.jpg 露出計がちゃんと動いていて安心した
ah_img048.jpg 逆光の露出は上手くない

 レンジファインダー機では、今どういう絵になっているのかということがアバウトにしか分からないため、あまりフォーカスや露出に攻め込んだ写真は撮らないのが普通だ。しかしElectro 35の場合は、一眼と変わらぬサイズのレンズを搭載したこともあって、できあがりの写真は完全に一眼レフのそれである。

ah_img043.jpg こういう絵柄がレンジファインダーで撮れるのは驚き

 このあたりのギャップが、いつまでも愛好されるゆえんなのかもしれない。今回はあいにく完全な修理はできなかったが、シリーズにはもっと小型のものも存在するようである。修理には多少自信が付いたので、今後はそういうものも探してみるとしよう。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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