円高を嫌気する動きに、持高調整の売りが加わり大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年09月14日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場が軟調となったことや円高がいっそう伸展したことなどを嫌気して輸出関連銘柄や金融株を中心に売られ、大幅安となりました。ちょうど6月のSQ(特別清算指数)算出時と同じように、SQが終わってからの持高調整もあり、大きな下落になったものと思われます。加えて、日銀の金融政策決定会合で金融緩和の「出口」が取りざたされることへの懸念や中間期末での5連休などから持高調整を急ぐ動きとなったものと思います。

 以前は「円高メリット」というとまず取り上げられるのが電力・ガス株や紙・パルプ株でしたが、最近では小売株の一角なども「輸入コストが下がる」ということで「円高メリット株」とされるようです。さすがに本日は軟調なものも多いのですが、ニトリ(9843)が堅調となるなど、確かにそうした傾向は見られます。ただ、円高メリット銘柄ということで買われること自体が少なくなっているのではないかと思います。

 「円安メリット」銘柄を物色する動きや「円高デメリット」銘柄が売られることはよくあるのですが、為替への反応は円高=株安、円安=株高という意識が強すぎて、また、指数への影響の大きな銘柄がねがさの輸出関連銘柄が多いことから、そういう反応になってしまうのでしょうが、円高=株安、と言う観点を少し変えて見てもいいのではないかと思います。実際に米国でもドル安の割りには株が堅調となっており、為替と株価の関係も見直してもいいのかもしれません。

 原油価格の上昇などがコスト高として懸念される中では円高が業績に対してはプラスに寄与する企業も多いわけです。日本企業が総じて輸出に頼っているということを考えると懸念材料にはなるのですが、海外から資金が流入してくれば、つまり「日本を買う」と言う動きになれば円高になるわけですし、海外に出て行こうと考えている企業や、海外で材料を買い付けに行く場合にも円高は「メリット」となるのです。ちょっとした為替の上げ下げに右往左往することなく、しっかりと方向性を見極めた投資がいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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