米国株高、先物・オプションSQに絡む売り買いも買い越し基調となったのですが、後が続かず、円高を嫌気する売りが優勢となって軟調となりました。上値の重さ、戻りの鈍さを嫌気しては売られるといった状況で、持高調整と見られる買いも見られたのですがヘッジ売りや見切り売りがかさんで指数を押し下げる動きとなりました。業績や個別の材料に反応するというよりは先物などへの目先筋の思惑的なまとまった売り買いに指数も個別の銘柄も振り回されていたような感じです。
中国の経済指標の発表を気にする向きも多かったようですが、結局、経済指標が発表となっても「何もなかった」ということで特に材料視されることもありませんでした。何度もこのコラムで述べているのですが、中国の経済指標や株式市場を日米欧の指標や市場と同じものと考えない方がいいのではないかと思います。国家の形態、政治のシステムが全く違うのとどうように、表面上同じように見えても中身は全く違う経済であると考えた方がいいのではないかと思います。
とは言っても、結局、中国株式市場にしても経済指標にしても、本当にその指標や指数の動きを見て動いているかといえば、そういうことでもないと思います。初めに「売り」ありき、で売ることは決まっていて、朝方から売ってはいたのですが、「中国の指標を見てから」ということで後から売る理由としているようなところもあるのではないかと思います。週末ということで手仕舞うことは分かっており、中国の経済指標が良かろうが悪かろうが売ることには違いない、ということなのでしょう。
中長期の投資であれば、大きなトレンドの転換点となる指標でなければ気することでもなく、逆に短期の売買であれば、相場が動くことがリスクになるので経済指標の発表の前に持ち高を整理しておく必要があるのでしょう。ですから、実際に経済指標などの発表で動くなどと言うのは後から取って付けた理由ということも多いのではないかと思います。もちろん、相場の転機になる指標の変化も多く、主要な指標の動向はしっかりと見極める必要はあるものと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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