ウケる記事を書くためのコツとは? 筆者が半年間で学んだこと最終回・現役東大生・森田徹の今週も“かしこいフリ”(1/2 ページ)

» 2009年09月11日 08時00分 公開
[森田徹,Business Media 誠]

著者プロフィール:森田徹

1987年生まれ、東京大学経済学部経営学科在学中、聖光学院中高卒。現在、東大投資クラブAgents自民党学生部などのサークルに所属している。投資・金融・経営・政治・コンピュータ/プログラミングに興味を持つ。リーマン・ブラザーズ寄付講座懸賞論文最優秀賞、日興アセットマネジメント主催「投信王 夏の陣」総合個人優勝。主な著書に『東大生が教える1万円からのあんぜん投資入門 』(宝島社)


 全くの私事で恐縮なのだが、9月から筆者はカリフォルニア大学アーバイン校に私費留学することになった。東大も休学することになり、表題で「現役東大生」という肩書きが使えなくなったから……というわけではないのだが、担当編集者とも話し合って本コラムもこれで一区切りにしてもらうことにした。不定期に寄稿しても良いという温かい申し出もいただいているので、来月くらいひょっこりやっているかもしれないが、“現役東大生・森田徹”としてはひとまず今回が最終回ということになる。

 今週はページビュー(以下、PV)や反応を気にせず好きにやって良いと言われているので、個人的なテーマとしてやり残していたGDPを構成している統計値の詳解レポートや、この夏の個人的な自由研究として取り組んでいる非線形の確率的分類器の導入をやってもいいのだが、最終回がそれではあんまりなので、これまで21回連載をしてきて筆者なりに“手応え”として感じてきたことを書こうと思う。毀誉褒貶(きよほうへん)には事欠かなかった本コラムだから、それなりに示唆(しさ)に富む内容にもなるだろう。

良い記事とウケる記事の違い

 良い記事だと必ずウケるのか(PVが取れるのか)、またウケる記事は必ず良い内容なのか? 結論を言うと、良い記事とは「狭く深い話」、ウケる記事とは「広く浅い話」ということに尽きる。

 良い記事は精緻(せいち)なロジックがなければ実現できないが、ウケる記事はある程度論理が破たんしていても、短くて軽い話にすれば実現できる(どこぞのリサーチ会社がやっている統計学的に破たんしているアンケートの類が好例である)。また、ウケる記事を書こうと思ったら、「専門用語をあまり使ってはいけない」ということに後になって気付いて歯がゆかった。

 筆者がウケる記事として考えていた類型は以下の4つである。

(1)話題になっていることの“簡単な”解説(詳細な解説は一部にしかウケない)

(2)何かお得感があること(Tipsやマニュアルなど。応用として血液型のような無意味分類ネタがある。ブログや日常会話ですぐに実践できるもの)

(3)“一般常識(民放のクイズ番組レベルの常識)”への反論

(4)醜聞と恋愛 (あまり考えないで読めるもの)

 いまだに感想を聞く機会も多い第2回の「東大生のノートは本当にキレイ? いや、そもそもノートを取ってない」は前半が(3)、後半が(2)のパターンだし、「現役女子大生のキャバ嬢に学ぶ! プロフェッショナルなトーク術(前編)」や「メイド喫茶の内側は? 現役メイド「あいりちゃん」に聞く(前編)」は(3)と(4)を組み合わせたものだ(このパターンを意識して2回取り上げたのは再現性のあるパターンなのかどうかを知りたかったのもある)。「iPhone/iPod touchを使ったモバイル英語勉強法」は(2)で、「『活字離れ』はウソ?――本当に本は売れていないのか」は(3)になる。

 筆者が大学生ということもあり、編集部が実験的で独自の視点を求めていたので、総じて(3)の要素を強くしており、(1)のパターンは誰にでも書けそうなのであまり書かなかった(「さようなら、Mr.スポック!――新しい経済学『行動ファイナンス』って何?」などがこれに入る)。

 PVを稼ぐことに情熱を注いでいた時期は、Business Media 誠のWebサイトだけで、東大ノートやキャバ嬢、メイドの記事はそれぞれ10万オーバーのPVを稼いでおり、PVだけで見るとほかのコラムニストの方々に勝るとも劣らない数字だったので、筆者の推論はそれなりに正しかったのだろう。

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