新型インフルで自宅待機……賃金を支給する企業は3割

» 2009年09月10日 07時57分 公開
[Business Media 誠]

 新型インフルエンザ対策として、感染予防のためのマスクなどを備蓄している企業は何割くらいだろうか。労務行政研究所の調査によると、生活必需品や保護具(マスクなど)の備蓄を「行った」という企業は75.7%に達していることが分かった。具体的に備蓄しているものを聞いたところ、「マスクなどの保護具」は99.6%、「消毒用アルコール性手指消毒剤」も84.8%と、この2つについては大半の企業が備蓄しているようだ。

 逆に「食料、日用品」は18.6%、「タミフル、リレンザ(抗インフルエンザウイルス薬)」は12.3%。企業の規模別に見ると、1000人以上の大企業では両者とも4社に1社が備蓄しており、規模による差が出た。「タミフルは医師の処方に基づく薬であり、大企業で比較的多いのは、社内に医師や医療機関を置いていることも関係しているのでは」(労務行政研究所)としている。

企業における生活必需品や感染予防のための保護具の備蓄状況(出典:労務行政研究所)

 従業員が新型インフルエンザに感染した場合、職場に感染を広げるリスクがあるため、自宅待機を求める企業も多いのでは。このように自宅待機とする場合、賃金の取り扱いはどのようにしているのだろうか。最も多かったのは「賃金を通常通り支払う」で33.1%、次いで「分からない、未定」(27.2%)、「賃金や休業手当などは支払わない」(22.2%)、「賃金は支払わず、休業手当を支払う」(8.6%)という結果に。

 インターネットによる調査で、民間企業の人事労務担当者4263人が回答した。調査期間は7月22日から8月8日まで。

出社制限をしている企業

 従業員の同居家族が新型インフルエンザに感染した場合、出社制限を行っている企業はどのくらいあるのだろうか。従業員の自宅待機状況を聞いたところ、「保健所から『濃厚接触者』として外出の自粛要請が出された場合は、自宅待機する」が最も多く43.1%、次いで「保健所の判断を待たず、原則として自宅待機とする」(33.9%)、「分からない、未定」(16.7%)と続いた。

同居家族に感染が確認された場合の、従業員の自宅待機(出典:労務行政研究所)

 「保健所の判断を待たず、原則として自宅待機とする」または「保健所から『濃厚接触者』として外出の自粛要請が出された場合は、自宅待機する」と答えた企業に、自宅待機中の賃金の取り扱いを聞いたところ、「賃金を通常通りに支払う」という企業が最も多く43.5%。この結果について「欠勤しても賃金を控除しない完全月給制の企業があることに加え、特別有給休暇とする企業があるためと考えられる」(労務行政研究所)

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