米国株が堅調だが織り込み済み、円高や材料難で手仕舞い売りがかさんで軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年09月09日 17時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株は堅調となったのですが、昨日の上昇である程度織り込んでいたことに加え、為替が円高に振れたことや外国人が売り越しと伝えられたことなどから軟調となりました。資源株や商社株、内需関連株などに買戻しや収益拡大を期待する買いも見られましたが先物主導で輸出関連銘柄や銀行株が売られ、軟調となりましたが小型銘柄は堅調なものも見られ、強弱感が対立目先筋中心で方向感のない展開となりました。

 自動車も安ければ売れるという話が出ていましたが、本当に安ければ売れるのでしょうか?そして、本当に安いことがいいことなのでしょうか?安いから自動車が売れるというのはある意味で違っていると思います。今回の「エコカー減税」で確かに販売台数は回復、米国でも中国でも新車買い替えに対する補助で販売は伸びましたが、「安い」から売れたわけではなく、「安くなったから」売れたのです。実際には政府からの「補助」が出ているのでその「補助=ばら撒き」をもらわないと損だ、という心理が働いたものと思います。

 実際に自動車でもETCでも「買えない」人は少なく、元来「買えない」人はいくら補助を出しても買えず、買える人が補助を出すことによって「買う」だけなのではないかと思います。ですから、たとえば株を買えば売買代金の10%を補助するなどということになれば、誰もが株を買おうと思うのです。ですから、いくら手数料が安くても買い急ぐ人がいないのと同じで、安いから買うというのではなく、補助が出るから買うということに過ぎないのです。ここで、もし「安いから買う」と誤解して安くしたらどうなるのでしょう。

 利益率が下がり、あるいは利益率を確保するために従業員や下請け、仕入先が「補助」を出すようなことになるのです。そして、補助を出した方は自分には補助が出ないものだから消費を控えてしまうことになります。ですから、単に安くするというのではなく、売る方にも作る方にもメリットのあるように安くする必要もあるのではないかと思います。株式市場も同様で安くなったから買うのではなく、「実力に比べて安くなった」とか、持高調整の売りに押されて(補助?)安くなるようなときに買うのが賢明なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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