米国市場が休場となったこともあり、方向感のない展開で昨日に続き日中の値動きの少ない相場となりました。それでも、環境関連銘柄などを個別に物色する動きとなるなど目先的な資金の回転は効いているようです。一方で金融規制の問題もあり、銀行株などは売られ、強弱感の対立する相場展開となりました。引けを意識する時間帯からは買戻しを急ぐ動きも見られ、高値引けとなりました。
朝方8月のマネーストック(昔の「マネーサプライ」です)速報が発表になりましたが、現金と預金が増加、特に定期性預金などの「準通貨」のに伸びが1998年12月以来の高さとなりました。この動きを見ていると「景気回復」が連鎖的に回復している過程がどうも見えないような気がします。本当に「不況」であれば現預金を取り崩さなければならず増えることもないのでしょうが、投資や消費、あるいは企業の設備投資や仕入れなどに使う資金が預金として滞留しているということなのでしょう。
8月特有の動きなのかあるいは景気の回復過程で資金の使い道が分からずにこの流れが続くのか、今後の動きを見なければならないとは思いますが、どうも個人も企業も「お金を使う」ということを警戒し、行動そのものが萎縮してしまっているのではないかと思います。将来に対する不安や将来の方向性がいろいろな意味で見えないことから行動が萎縮され、資金を「貯める」方向に向かってしまっているのでしょう。
もちろん無駄なお金を使う必要もないと思いますし、将来に備えることはいいことだとは思いますが、いろいろな意味での(株式や証券だけではない)投資(リスクを伴う資金の拠出)に慎重になり過ぎているのではないかと思います。こうした萎縮したことが当たり前になると日本そのものの成長も見込めなくなってしまうのではないでしょうか。リスクを軽減しながら、しっかりとリスクを計りながらリスクを取ることも必要なのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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