ケバブと中華、どちらに軍配? ドイツの軽食事情松田雅央の時事日想(1/2 ページ)

» 2009年09月08日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 ドイツに長期滞在する日本人の多くが一度は病み付きになるファストフード。それがトルコ軽食店の「ケバブ(Kebap)」。羊肉や鶏肉の塊を回しながら焼き、その表面をナイフで削ぎ落とすと小ぶりの肉片が受け皿にたまる。その肉と小さく切ったレタス、トマト、ピーマンをパンやユフカ(小麦の生地を薄く焼いたパン)にはさみ、ヨーグルトソースをかければでき上がり。パンの場合は巨大なハンバーグ、ユフカで包んだものは巨大な春巻きのよう。肉がタップリのボリュームながらサッパリ味のため、日本人の口にも大変よく合うようだ。

 トルコ軽食店と並び、庶民に人気なのが中華軽食店。かしこまった中華レストランと違い、調理に手間のかからない炒め物しか食べられないのは残念だが、何より安くて早い。ケバブ同様、ボリュームもタップリありこちらも値ごろ感は十分だ。

 今回はケバブと中華に代表されるドイツの軽食事情をレポートしたい。

トルコ軽食店。客の目の前で手際よく作るのが特徴。繁華街なら50メートルに1軒はあり、しのぎを削っている(左)、中華軽食店。看板にあるWOK(ヴォック)は中華鍋のこと。中華軽食店の通称として使われている(右、クリックして拡大)

問題になるのは肉の品質

 ドイツに来たばかりのころ、筆者はケバブの味にはまり、ほとんど毎日のようにトルコ軽食店へ通っていた。昼食には十分の量ながら価格は4ユーロ程度と、ちょっとしたレストランの半額で食べられる。野菜がタップリ入っているから、貧乏学生もこれさえ食べていれば栄養失調にならないというありがたい存在だ。

 「肉の塊」は心棒を中心に肉を積み重ねて作り、工場から冷凍で届けられる。香辛料に味の秘密があり、各店はこの部分に工夫を凝らしているそうだ。

 問題になるのは肉の品質。加工肉のため質の悪い肉を使っても調味料でごまかしやすく、クズ肉を使う食肉スキャンダルが時折発覚する(関連記事)。消費者の防衛策は、結局、信用できる店を見つけることしかない。

 ちなみに、トルコ料理として定着しているケバブだが、実はベルリン生まれ。ベルリン在住のトルコ人がトルコ料理を基に考案したとされ、現在はドイツのみならず広く欧州で食されている。

ケバブの肉の塊
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