発電量は陸上の1.4倍――日本郵船と新日石の太陽光エネルギー

» 2009年09月03日 17時05分 公開
[栗田昌宜,Business Media 誠]

 日本郵船と新日本石油は9月2日、太陽光発電システムを搭載した自動車専用運搬船「アウリガ・リーダー」による実証実験の中間報告を発表した。同報告によると、2008年12月19日の竣工から7カ月間の総発電量は3万2300キロワット時で、発電量は陸上(東京)で発電した場合に比べて1.4倍程度増加したという。

 アウリガ・リーダーは日本郵船と新日本石油が共同開発した自動車専用運搬船。全長199.99メートル、全幅32.26メートル、総トン数6万213トンで、最大6200台の自動車を積載できる。太陽電池パネルはデッキ上に328枚設置されており、太陽光エネルギーで発電した電力を動力源の一部として利用している。

自動車専用運搬船「アウリガ・リーダー」の遠景(左)と太陽電池パネルを設置したデッキ部分(右)

 同船による実証実験は、航海中の過酷な環境下でも船舶推進動力へ安定した太陽光発電の電力供給を実現することを目的に実施されているもので、竣工から約2年間、塩害や風圧、振動下での耐久性と、太陽光発電と船舶電力系統との連系を検証する。

 このほど発表された実証実験の中間報告は、竣工から2009年7月13日までの4航海(全207日間)の結果をまとめたもの。それによると、太陽光発電システムの運転時間は2600時間で、総発電量は一般家庭17軒分の消費電力に相当する3万2300キロワット時を記録した。また、発電量は陸上(東京)で発電した場合に比べて1.4倍程度増加した。これは、航海域での太陽高度が東京よりも高く日差しが強かったことや、平均日照時間が長かったこと、船が受ける風によって太陽電池モジュールが冷却され、変換効率が上がったことなどが要因として考えられるとしている。

 なお、太陽光発電がアウリガ・リーダーの全動力に占める割合は0.05%、ポンプや照明など電力に占める割合も約1%と予測どおりの結果が出ており、これにより年間約14キロリットル(13トン)の燃料節減と約40トンのCO2排出量削減が見込めるとしている。

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