コラム
» 2009年09月01日 07時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:歩いて楽しい“まちづくりのススメ” (1/3)

地方都市の発展は社会的な課題となっている。地元商店街を再生し、中心市街地を活性化するには「歩きたくなるまち」を育てることが大切だ。ここでは宇都宮の試みを例に、日本とドイツのまちづくりについて考えてみる。

[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 この夏、日本に長期滞在した筆者は地方都市の“まちづくり”をテーマに各地を訪ねてみた。様々な場面で「地方の時代」が叫ばれる昨今、その中核をなす地方都市の魅力的な発展は重要な社会的課題となっている。

 まちづくりは一般に「よりよいまちを作り育てるための取り組み」と解釈できるが、定義は人により状況によりだいぶ異なる。繁華街なのか住宅地なのか、あるいは農村地帯なのかといった地域の条件。さらに、まちの抱える課題が商店街の活性化なのか少子高齢化対策なのか、あるいは道路インフラ整備なのかにより、求められる目標も当然違うはずだ。

 多様な切り口から論じることができるまちづくりだが、ここでは宇都宮とドイツのまちを例にして「歩いて楽しいまちづくり」について考えてみたい。

滞在したくなる空間

 今、多くの地方都市が「歩いて楽しいまちづくり」「歩いて暮らせるまちづくり」といったキャッチフレーズを掲げている。地元商店街再生や中心市街地活性化が喫緊(きっきん)の課題となり、歩いて楽しいまちが俄然注目されるようになってきた。

 人が本当にまちを楽しもうと思えば、それは徒歩でしかありえないだろう。小売店や飲食店、娯楽施設、駅、公園、広場が集まったまちは人をひきつけ、そこににぎわいが生まれる。まちでは偶然友人に会うかもしれないし、小さな祭りが催されているかもしれない。公園の芝生にクロッカスの花を見つけて春を感じたり、噴水で子どもを遊ばせたり、ストリートミュージシャンの演奏を聞くこともあるだろう。

 買い物や食事を済ますだけなら大型店が立ち並ぶ国道沿いをクルマで走ってもいいが、単なる消費だけでなく滞在することにも満足や喜びを感じる空間がまちである。クルマで店を渡り歩く買い物スタイルを否定するわけではないが、そこに集い(つどい)を楽しむまちの要素は存在しない。

ah_myuntyu.jpgah_haideru.jpg ミュンヘン中心市街地の広場(左)、ハイデルベルクのメインストリート。大道芸人とそれに見入る市民(右)

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