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» 2009年08月31日 11時00分 UPDATE

-コデラ的-Slow-Life-:難しさの質が違うElectro 35 GT(S)の修理

Electro 35 GT(S)を修理するのは今回で2回目。1回目は失敗したのだが、今回はその時のパーツを拝借して修理することにした。

[小寺信良,Business Media 誠]

 前回の写真で、今回ジャンクで購入したElectro 35 GT(S)は、これまでと違って妙に汚れがひどいと思われたかもしれない。実を言えば、Electro 35 GT(S)を修理するのは今回で2台目である。

 1台目の修理はかなりいいところまでいったのだが、フォーカスリングが斜めになったままでネジが食い込んでしまい、どうにもこうにも動かなくなってしまった。今回はその経験を元に修理、汚いパーツは1台目から拝借していく。

 →時代を作った“電気”カメラ YASHICA Electro 35 GT(S)

ah_DSCF9522.jpg 実は2台目の修理。左が1台目

 何はともあれ、まずは動作状態のチェックである。Electro 35で使用している電池は、「HM-4N」という6ボルトのかなり長い水銀電池だ。この電池はElecrto 35のために設計されたとも言われているもので、ほかにこれといった使い道もなく、とっくに生産中止になっている。まずはこの電池の自作からである。

 以前、CanonのDial35を修理した時にも電池を自作したのだが、その時の材料が余っていた。今回は並列ではなく、1.5ボルトのボタン電池LR44を4つ直列つなぎにして、合計6ボルトの電池にすればいいので、簡単である。

 ゴムホースに4つ電池を詰め込み、高さが足りない部分はワッシャーを積み重ねて調整する。先頭の突起は、適当なネジを差し込んだだけである。

ah_DSCF9524.jpg 今はなき電池を自作

 こんなものでも、カメラに入れてみたらちゃんと動作した。バッテリーチェックもOK、露出計もちゃんと動いているようである。ということで、ボディのベースはこの2台目のほうがマシなようだ。

丈夫なカメラ、その理由は……

 ただこの2台目のElecrto 35、電気系は動いているようだが、光学系がカビだらけである。まずはファインダーのほうからきれいにしていく。ファインダーの前面レンズはカビでくもっていたので、取り外して1台目のものと交換した。麦球周りのモルトもカビだらけなので、全部はがして交換する。

ah_DSCF9539.jpg カビの生えたファインダーのレンズを交換
ah_DSCF9546.jpg 至る所でカビが進行

 続いて光学系のメインとも言えるレンズだが、こちらもかなりカビがひどい。Elecrto 35のレンズは前玉群と後玉群に分かれており、その間にシャッターと絞りが入っている。まずは前玉群のほうから外していく。

 レンズ周りの飾りパネルを外すと、前玉群全体を外すことができる。さらにそれをレンズごとにバラして、カビの具合をチェックする。2台のレンズを比較してみたところ、一番前のレンズは、1台目の方は全体的にくもりがあり、クリーニングしてもきれいにならなかった。2台目の方をクリーニングした方が、マシなようだ。その次のレンズは、2台目の方はカビがひどいため、1台目から持ってくる。

ah_DSCF9554.jpg 分解した前玉群のレンズ。状態のいいものを組み合わせていく

 こうして前玉群は、1台目と2台目のハイブリッドとなった。次は後玉群だが、こちらは外すのが大変である。まず外装の革をはがして、レンズユニット全体を前に向かって外してしまわなければならない。

ah_DSCF9562.jpg まずは外装をはがすところから

 単にネジを外すだけならただの根気仕事だが、本体と電線でつながっているので、隙間が少ししか開かない。露出計はレンズユニットのほうにくっついているようだったので、本体との固定部分を外して、露出計ごとユニット全体を外した。

ah_DSCF9560.jpg レンズユニット全体を外したところ

 本来ならば電線をハンダゴテで外して作業すべきだが、面倒なので半開きの状態で工具を突っ込んで、後玉を外すことにした。一番短い線は、茶色の外部ストロボ端子へのシンクロ線である。今さらフィルムカメラでストロボ撮影もしないと思うので、必要がなければ切ってしまっても構わないだろう。

 内部の配線は、約40年の歳月が経過しているにもかかわらず、きれいなままである。当時は故障が少ない丈夫なカメラであることもウリだったそうだが、中の線材もかなり上質のものを使っていたようだ。

 何とか外れた2台目の後玉群は、全体的にカビが回っており、ほぼ再生不可能。同様に1台目の後玉群を外して比較したところ、1台目の方はかなりきれいだったので、これは全体的に1台目のほうを採用することにした。

ah_DSCF9569.jpg 2台目の後玉群。カビだらけ
ah_DSCF9571.jpg 1台目の後玉群。こちらを採用

 あとは元に戻すだけ、と書くのは簡単だが、実際にこれだけのケーブルをさばきながら元通りに組み立てるのは、骨の折れる仕事だ。さぞや製造は大変だったことだろう。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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