日本で格差が見えにくい4つの理由ちきりんの“社会派”で行こう!(1/2 ページ)

» 2009年08月31日 07時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2007年2月26日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 海外に行くと「日本は格差が見えにくい国だよね」とよく思う。

 格差そのものについてはいろんな意見があって、「日本の格差なんて、ほかの先進国と比べればよほどマシ」という人もいれば、「いやそれは既に幻想で、日本は他国と比べても格差の大きな国になった」と言う人もいる。見る指標にもよるし、社会保障還元前か後かでもかなり違う。

格差と人種が結びついていない

 日本の格差レベルについてはいろんな意見があるのだが、少なくとも「格差の見えやすさ」については「日本は圧倒的に(格差が)見えにくい国」だと思う。その最大の理由は「格差と人種が結びついていない」ことだろう。欧米だと、経済格差と肌の色に高い相関関係があるために、格差がひと目で分かる。

 欧米では、ゴミ収集車の作業員、格安ファストフードの店員、ホテルのハウスキーパーなど給料が安い職業の人たちは、オフィス街で働いている給料が高い人たちとは明らかに“肌の色の傾向”が違う。だから、「ああ、格差があるんだな」とすぐ分かる。

 日本でもオフィスビルやホテル、新幹線などでお掃除の人に会う。でも宿泊客や乗客は、彼・彼女らを「自分とは違う職業の人」とは感じても、それを“格差”とは意識しにくい。でも、もしも掃除をしている人たちの多くが自分と肌の色が違ったり、日本語以外で話しているのを聞いたら、私たちは格差をすごくビビッドに感じるんじゃないだろうか。

職業と所得が見えやすい形で関連していない

 2つ目の理由として、日本は“職業と所得が見えやすい形で関連していない”というのもある。例えば、バスの運転手やゴミの収集をしている人は世界的には給料が安い傾向にあるが、日本では公務員やそれに準じる立場であると、実はかなり年収の高い層だったりする。

 一方で、スーツを着てアタッシュケースを持って街を闊歩(かっぽ)している人が、過酷なノルマに追われる英会話教材販売員で“年収200万円で、しかも歩合給”だったりする。日本には、こういう一見“さっそうとしてパリッとしているワーキングプア”の人たちがたくさんいる。

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