引き続き利益確定売りをこなして底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年08月28日 08時33分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9580.63△37.11

<NASDAQ>2027.73△3.30

<為替:NY終値>93.51-93.57

引き続き利益確定売りをこなして底堅い堅調な展開

 朝方発表されたGDP(国内総生産)は改定値ということに加え、大きな変更もなかったことから特に材料視されず、利益確定売りに押される展開となりました。ただ、個別の材料や業績で出遅れ感が強い銘柄などが買われて指数を押し上げ、原油先物相場が上昇に転じたことも指数を下支えする要因となりました。ボーイング1社でダウ平均を30ドル押し上げたとは言え、ダウ平均は2007年春以来、約2年5カ月ぶりの8連騰となりました。個別の好材料に反応しているところを見ると景気回復を確認しつつあるということなのでしょう。

 個別の材料に反応して指数が下支えされたとはいえ、総じて売り叩き難い相場となっているということなのでしょう。原油先物相場なども目先的には過熱感も出そうなところなのですが、堅調な推移となっており、資金の循環と言う意味では信用不安などが払拭されたものと思います。世界的に「金融相場」から「業績相場」へ移行できるのかどうかは今後の雇用や個人消費の回復次第ということなのでしょうが、楽観的な見方も増えており、楽観的な見方が個人消費などを好転させるのかもしれません。

 個別にはボーイングが最新鋭中型機の納入時期を発表して買われ大幅高、ダウ平均を30ドル押し上げる動きとなりました。また、著名投資家による株式取得が伝えられたシティグループや対立していた元幹部が和解しそうだということからAIG(アメリカンインターナショナルグループ)が大幅高、金融株が総じて堅調となりました。取引終了間際に発表された5−7月決算で売上高が予想を上回ったデルも大幅高となりました。トールブラザーズやベライゾンコミュニケーションズ、ウォルマートなどは利益確定売りに押されてさえない展開となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は特に売られる材料のない中で前日の大幅高の反動や円高を嫌気する売りに押されて大幅安となりました。節目と見られる10500円水準を割り込んでしまいましたが、ぎりぎりのところで下げ渋った格好です。目先筋が中心となっている相場で利益確定売りに押されると追随売りのようなものも多く、押し目買いはまた次の日、ということになり先物主導の下落となりました。

 米国市場は引き続き底堅い堅調な展開となっていますが、朝方発表される失業率や消費者物価指数が「ぶれる」ようなことがあれば総選挙を控えて手仕舞い売りがかさむ可能性もあります。昨日の下落が特に理由もないなか目先筋の売りで大幅下落となったことや「鯨幕相場」でることから、反動高も期待されます。景気回復を織り込みに行く段階で、選挙も終わることから市場参加者の増加も期待されますが、月末近くの週末ということで、見切り発車的な動きが出るのかどうかが注目されます。引き続き電池関連やインフルエンザ関連といった銘柄が個別に物色されるものと思います。

 節目と見られる10500円水準での底堅さが見られませんでした。それだけ、目先筋の先物売買が指数を振り回しているということなのでしょう。ただ、10500円を割り込んだところでは押し目買いや買戻しも見られ、仕掛けてきな売りがかさむことがなければ、すぐに高値更新となって来るものと思います。市場参加者が増えず、腰の据わった買いも少ないようですが、選挙を控えた週末ということで手仕舞いの売り買いが中心となるのかもしれません。少なくとも昨日の安値水準である10400円を割り込むところまで売り急ぐ理由はなさそうです。

本日の注目点

◇7月の完全失業率

◇7月の全国消費者物価指数

◇7月の家計調査

◇7月の米個人消費支出

◇決算・5−7月期:米ティファニー

◇決算・1−6月期:仏エルメス、カルフール

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