円高や自動車買い替え制度終了を嫌気し大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年08月21日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が堅調、外国人も買い越しと報じられましたが売り先行となりました。米国での自動車買い替え補助制度が24日に終了すると報じられたことで、自動車株が売られ、為替も円高に振れたことで、一斉に売りが出たものと思います。週末の米国市場への懸念もあって手仕舞い売りを急ぐ展開となったものと思います。さすがに最後は買戻しもあって、下げ幅縮小となりましたが、疑心暗鬼な今の相場を象徴していました。

 上海市場が軟調なときは売られる理由を「上海市場が安いから」とすることも出来ますが、本日は上海市場が高いにも関わらず大幅下落となりました。何度もこのコラムでも述べていますが、本来上海市場は中国の国内市場、特に投機的な動きが強い市場であり、経済の実態と言うよりはセンチメントを示していると見てもいいと思います。ですから本来それほど大きな影響はないのが本当なのです。

 上海市場が堅調であるにも関わらず大幅下落となっているもので、今日は「香港市場が軟調だから」などというコメントも見かけました。極端な言い方をすれば、「今日は雨だから株が安い」と言うようなもので、海外市場が安い理由が日本市場にも影響がある理由なのかどうかが問題なのであって、日本市場が直接海外の株式指数に影響を受けているということではないのです。米国でもダウ平均とナスダック指数が高安まちまちとなることもあり、米国で「何が起きているのか」、中国で「景気がどの方向に行っているのか」などが問題なのです。

 為替が円高に振れていると言う事も「円を買っている」と言う事実をしっかりと考える必要があり、単純に円高、円安という数字の動きだけで反応してもいけないと思います。円を買うということが、例えば円で資金を調達した資金をドルで運用、そしてその運用が終わったので、円を返すため、なのかもしれませんし、逆にドルで資産を持っている人が日本の株を買うためにドルを円に換えているのかもしれません。数字の動きだけでなく、関連性を常に考えて動く必要があるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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