景況感の好転で堅調だが、雇用に対する懸念もあり上値も限定的清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年08月21日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9350.05△70.89

<NASDAQ>1989.22△19.98

<為替:NY終値>94.18-94.24

景況感の好転で堅調だが、雇用に対する懸念もあり上値も限定的

 8月のフィラデルフィア連銀景気指数が前月のマイナスからプラスに大幅に改善したことから景気回復の度合いが高まるとの見方となり、堅調な展開となりました。世界的な金融緩和の「出口論議」も一服となったことで、信用収縮懸念も薄れ、金融株なども堅調となりました。ただ、新規失業保険申請件数が前週比で増加、予想も上回ったこともあり、製造業の回復は見られるものの、雇用や個人消費の回復はまだ懸念され、上値も限定的となりました。商品先物に対する規制強化も取りざたされましたが、商品市場、株式市場ともに影響は限定的でした。

 景気回復を示す経済指標も現状では好材料とも悪材料とも取れるような感じですが、徐々に経済指標の好転は広がっているようです。あいかわらず、個人消費や雇用の懸念が根強く、経済指標の好転で金融緩和政策が見直されることに対する恐怖感もあり、経済指標の好転も素直に好感できないということなのでしょう。ただ、金融緩和政策を見直さなければならないほど景気が本格的に回復してくれば、現状のように株価が期待感から先走っているところに実体経済が追いつくということになり、株価の割高感が薄れ、大きな下落には結びつかないということになるものと思います。

 個別には資産売却を適切に行うと経営トップが述べたAIG(アメリカンインターナショナルグループ)が大幅高、連れて金融株が高く、シティグループも大幅高、JPモルガンチェースも堅調となりました。ハイテク銘柄も景気回復を織り込む格好で高く、強い買い推奨リストに加えられたグーグルが大幅高、シスコシステムズも大幅高となりました。一方、シアーズホールディングスは四半期決算が赤字になったと報じられて大幅下落となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高を受けて堅調な始まりとなりましたが、上値の重い展開となりました。ただ、世界的な金融緩和がまだ継続するとの日銀審議委員のコメントが伝わると、これまで疑心暗鬼となっていたリスクを取るような資金が入り、ほぼ全面高となりました。先物へのまとまった買いも入り指数を押し上げる面もありました。

 米国市場が堅調、為替もドルが底堅い展開となっていることなどから堅調な展開が期待されます。ただ、週末ということもあり、手仕舞い売りもかさむものと思われ、上値も限定的となりそうです。世界的な景気回復期待と同時に各国の経済政策頼みでここまで回復したとの認識からいつはしごを外されてしまうのかと言った恐怖から早め早めの利益確定売りや見切り売りとなってしまい指数の上値を押さえる格好となっています。目先的な過熱感はまだ強いのですが、商品市況の落ち着きなどもあり全体的に底堅く、材料含みの銘柄は引き続き堅調な展開となるものと思います。

 日経平均は下値が確認されたことで、今度は戻りを試す展開となりそうです。ただ、為替も落ち着いているとは言え円高水準にあり、指数の過熱感も強いことから、節目と見られる10500円の水準を一気に抜けるという展開にはなり難いと思います。取りあえずは上値の重さを確認しながら、10500円前後の水準を試すことになるのでしょう。下値の底堅さが確認されたことで、10000円を割り込んだところで買おうと思っていたような投資家が買いの水準を上げてくるのかどうか、10300円前後で底堅さが見られるのかどうかも注目ではないかと思います。

本日の注目点

◇7月の米中古住宅販売

◇決算・5−7月期:ユニバース

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