「出口論」が取りざたされるなかで、リスク回避の動きが強まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年08月18日 08時45分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9135.34▼186.06

<NASDAQ>1930.84▼54.68

<為替:NY終値>94.52-94.58

「出口論」が取りざたされるなかで、リスク回避の動きが強まり大幅下落

 朝方発表されたニューヨーク連銀景気指数が前月から大幅上昇、住宅市場指数も前月から上昇となり、本来であれば市場で取り上げられて買われる理由にもなりそうですが、個人消費の回復に対する懸念が強まっているなかで金融緩和の「出口論」が取りざたされて世界的な信用収縮の動きから売り急ぐ展開となり、大幅下落となりました。経済指標や個別の決算などに左右されたというよりは、中国での金融引き締め懸念や米国での「出口」に注目する動きから一斉にリスク許容度が低下、株式売りに繋がったものと思います。

 ここのところ、何度か起きている「金融緩和後」に対する懸念がまたぞろ噴出したということだと思います。先月は雇用統計をきっかけに雇用に不安が残るかなでの「出口論議」が株式市場下落要因となり、今月は個人消費懸念をきっかけとした下落ということなのでしょう。現状の景気回復がいかに政策頼みであるかということが一番の下落要因であり、逆に言えばこうした市場の反応があるうちは金融緩和を解除するわけにはいかないということなのでしょう。何度かこうした波乱をくぐりながら景気回復、業績回復をオ織り込んでいくことになるのでしょう。当面は下値を探る、押し目を探る展開となるのでしょう。

 個別には5−7月決算が予想を下回り、先行きの業績見通しが慎重とされたロウズ(ホームセンター)が大幅下落、同業のホームデポも連れ安となりました。商品市況が軟調となったことからアルコアが大幅下落、資源株や素材株が軒並み軟調、USスチールなど鉄鋼株も下げました。信用収縮懸念からバンクオブアメリカやJPモルガンチェースなど金融株も安くなりました。一方、ディフェンシブ銘柄は堅調となりダウ平均採用銘柄ではファイザーやコカコーラが堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国株安などを受けて売りが先行、持高調整や利益確定売りに加え、先物のヘッジ売りもかさみ大幅下落となりました。買い気の乏しい中でまとまった見切り売りなどが下げを加速、目先筋の投売りなどもかさんで大きな下げとなったものと思います。特に売り叩かなければならないような材料があったわけでもないのですが、目先の需給に振らされる展開となりました。

 米国株が大幅下落となったことや引き続き為替が、特に対ユーロなどで円高傾向にあることから信用収縮懸念は拭えず軟調な展開となりそうです。特に、米国や中国などの景気回復期待から買われていた自動車株や機械株、ハイテク株などの輸出関連銘柄は売り急ぐ場面も見られるかもしれません。一方、米国でもディフェンシブ銘柄が堅調となっていたように内需関連のディフェンシブ銘柄などは底堅さが期待され、幕間つなぎとして小型株を中心に電池関連銘柄などの材料株が目先筋を中心に物色されるものと思います。

 日経平均は上値追いが期待され、11000円を目指す展開となると思われたのですが、意外なところで売られ、逆に押し目を試す動きとなりそうです。先々週の安値水準である10200円台半ばが一つの目処なのですが、昨日の終値でその水準まで既に売られており、本日反発して始まる可能性は低く、その次の節目での下げ止まりが期待されます。その次の節目は、先々週の安値である10250円から、10200円割れのところまで「窓」を空けており、この10200円割れ水準、10100円台半ばまでの水準が目処となりそうです。その水準まで下落となって、「窓埋め」完了として押し目確認となる可能性は高そうです。ただ、その水準を割り込むと、もう一段10000円の節目まで下落することになるのでしょう。

本日の注目点

◇7月の全国百貨店売上高(日本百貨店協会)

◇7月の米住宅着工件数

◇7月の米卸売物価指数

◇決算・6月期:ドン・キホーテ(7532)、総医研HD(2385)

◇決算・5−7月期:米ヒューレット・パッカード、ホーム・デポ

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