“町のおかしやさん”は幸せと中毒のもと郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2009年08月13日 07時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

観察レポ:立地、客単価

 まちおか、あなたの町の近所にありますか? よくある場所は、ターミナル駅もしくは乗降客の多い郊外駅の駅前商店街。ドラッグストアのお隣や向かいにある、と言えば分かりやすいか。駅から離れた立地もまれにあるが、それはきっとにぎわう商店街の中。“ついで寄り”をそそるのが狙いだろう。

 画像は都内某店近影だが、比較的大きめの店舗である。間口二間(3.6メートル)ほどの狭小店舗も多い。入口にカゴを置き、まとめ買いを誘うのは各店共通。

 店頭に飲料や菓子の目玉商品を広げて、レジとは逆の入店動線を作り、店内を“ワンウエー”(一方通行)でぐるりと歩かせる。取材依頼レターでは店内動線を「反時計周り」と表現したが、実際は時計周りの店舗が多そうだ。どちらにせよワンウエーを貫くのは「あ、これいいわね」「これもいいわね」と手に取らせて迷わせない狙いか。

 商品はスナック、チョコ、グミ、パン、駄菓子など、お菓子全般。さらに飲料やゼリーなどもそろえるが、常温品だけ。店舗投資と運営コストを抑えているのだろう。大型店(20坪くらい)では約1000種類の品ぞろえ、小さい店舗はその半分くらいとみた。

観察レポ:陳列、購買

 商品陳列は壁際は手が届く高さ、内側は低くしており、子どもにも見やすく取りやすい高さを心がけているようだ。せんべいとポテトチップなど、わざとジャンルを混ぜて陳列して、探す楽しさを演出する“ジャングル陳列”も垣間見える。


 商品は誰もが知るナショナルブランド(NB)のお菓子が主体。価格は市価の20%安が目安か。現金問屋やディスカウントストアのような大袋はなく、スーパーで売るNB商品ともちょっとちがう“個装パッケージの企画商品”も多い。品出しは随時行い、鮮度や動きを演出しているようだ。店舗により品ぞろえが一部異なり、特売品も違うのは、店長の裁量権が大きいとにらんだ。

 そこでフト思った。お菓子とは衝動買い品目なのか、計画購買品目なのか。結論が出ない思考にハマってしまったが、まちおかはその両方を受け入れる商品構成である。店舗をぐるり回って、お客さんはお菓子のカゴ買いを楽しむ。ケチな私はミミッちい買い物が多いが、カゴいっぱいお菓子の人もたくさん。平均客単価は500円を優に超えるだろう。

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