雇用統計の予想外の改善を受けて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年08月10日 07時42分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9370.07△113.81

<NASDAQ>2000.25△27.09

<為替:NY終値>97.47-97.53

雇用統計の予想外の改善を受けて大幅高

 注目された雇用統計で失業率が予想に反して減少したことや、非農業従事者の減少幅も縮小、懸念されていた雇用に回復の兆しが見られたことを好感して大幅高となりました。決算も比較的好調、経済指標に好転の兆しも見られるなかで雇用と個人消費の改善が見られなかったのですが、雇用に改善の兆しが見られたことで景気回復が見えてきたということなのでしょう。目先的な過熱感もあって上値の重さが気になるところでの好材料だけに大幅高につながったものと思われます。

 ナスダック指数が戻りきっていないことや原油など商品市況が軟調となったこと、またモノライン(金融保証会社)や住宅抵当公社などの赤字決算が気になるところではありますが、逆に保険大手の黒字決算などもあり、金融不安や信用不安、信用収縮懸念などにはむすびつかなったようです。ドルが強含みとなったことで信用収縮懸念には結びつかなかったものと思われ、米国の景気回復に対する期待がそれだけ強まったということだと思います。目先的な過熱感はあるのでしょうが、しばらくは強含みの展開が続くものと思われます。

 個別には同じ業種の中でも強弱感が分かれ、インテルやシスコシステムズが安く、ヒューレットパッカード(HP)やGE(ゼネラルエレクトリック)、IBMは高く、シェブロンは堅調だがエクソンモービルは軟調となりました。キャタピラーやボーイングなど景気敏感株も高く、金融株は7四半期ぶりに黒字決算となったアメリカンインターナショナルグループ(AIG)が大幅高、アメリカンエックスプレスが大幅高、JPモルガンチェースやシティグループも高くなりましたが赤字決算が嫌気されたアムバックファイナンシャルグループやファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)が大幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は目先的な過熱感が強いことや米国での雇用統計の発表を控えた週末の手仕舞い売りなどに押されて大幅安となる場面もありましたが、持高調整の売りが一巡となったことや逆に買い戻しを急ぐ動きなどもあって最後は堅調となりました。下値の節目である10250円水準での底堅さを確認したことで買戻しも入ったものと思います。

 週末の米国市場が大幅高となったことや円安となったことで堅調な展開が期待されます。ただ、寄り付き前に発表される機械受注の数字が極端に悪いようなことになれば上値も決まりそうです。逆に機械受注などにも大きな改善が見られるようであれば景気回復期待が一気に高まり、好決算ながらもいったん利益確定売りや戻り売りに押されていたものが買い直されることになりそうです。円安や米国景気の回復期待で輸出関連銘柄も業績上ブレ期待が強まり、物色されるのでしょう。資源エネルギー関連銘柄も市況の先高期待から底堅く、業績が芳しくない海運株なども業績回復期待から堅調となるものと思われます。

 先週末の相場でも10250円水準での底堅さが確認されたことで下値不安は少なそうです。機械受注が芳しくなくても底堅さは見られるものと思います。機械受注が予想を上回る、あるいは予想通りとなれば米国株高を素直に好感し、上値の節目である10500円を目指すことになるのでしょう。シカゴ市場(CME)の日経平均先物が10500円を超えてきており、10500円台を固めるような展開になれば、今度は週末のオプションSQ(特別清算指数)算出をにらんだ先物買いなどで指数を押し上げられるような場面も出てくるものと思われます。

本日の注目点

◇日銀政策委・金融政策決定会合(11日まで)

◇7月の貸出・資金吸収動向(日銀)

◇7月のマネーストック(日銀)

◇7月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇6月の機械受注(内閣府)

◇6月と09年上半期の国際収支(財務省)

◇7月の企業倒産(民間調査会社)

◇7月の中国消費者物価指数

◇決算・4−6月期:日揮(1963)、森永乳業(2264)、伊藤ハム(2284)、電通(4324)、日本板硝子(5202)、ワタミ(7522)、東京急行電鉄(9005)、近畿日本鉄道(9041)

◇決算・1−6月期:イトーキ(7972)

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