宮崎あおいの二面戦略 一眼デジカメ「オリンパス・ペン」それゆけ! カナモリさん(2/3 ページ)

» 2009年08月10日 07時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

宮崎あおいがつかむ2つのターゲット

 宮崎あおいの趣味が写真であることを知るファンは多い。日々カメラを持ち歩いてカメラ日記をつけており、2005年には本人が撮り下ろした写真を交えながら様々な想いをつづったフォトブック『祈り』(ネコパブリッシング)も刊行している。また、兄で俳優の宮崎将と、世界の経済格差問題を描いたフォトエッセー『宮崎あおい&宮崎将 たりないピース』(小学館)、環境問題を描いた『Love,Peace & Green たりないピース2』(同)を記すなど社会問題への関心も高い。

 2007〜08年には、オリンパスのデジタル一眼カメラ「E−410/510」、「E−30」にも起用されているので、その流れではあるが、実際に写真を日々撮っている女優が推奨するという演出はにくい限りである。

 ここでオリンパスのCMを実際に見てみよう。

 宮崎あおいは4歳の子役からのデビューであるが、2005年、社会現象を引き起こした大ヒット映画「NANA -ナナ-」の主演で一気に注目を集めた。2006年、NHK連続テレビ小説「純情きらり」のヒロイン役で家庭にも広く顔が知れ渡り、翌2007年には、大河ドラマ「篤姫」主演によって、誰もが彼女を知ることとなる。

 そんな彼女のファン層は、幅広いことが特徴だ。

 テレビ小説、大河ドラマでの高い認知で中高年にも好感度を得ており、その一部は往年のオリンパス・ペンファンともかぶる。

 家庭によく知られた顔で、実は写真の腕もなかなか。そんな彼女の推奨するデジタルになった「ペンE−P1」をもう一度手にしてみませんか、というメッセージが伝わってくる。

 一方、女性の支持も高い。女性向けマンガが原作の『NANA』(集英社)の主演だけでなく、「篤姫」の役どころは多くの女性の共感を得た。女性をターゲットとした時、「ペン」のスペックもピッタリとマッチする。「ペン E−P1」はレンズ交換型デジタルカメラとしては世界最小・最軽量である。しかも、初心者にも使いやすい直感的な操作を実現しているのだ。

 デジタル一眼入門機としては昨秋に発売されたパナソニックの「ルミックス G1」シリーズが先行しているが、そのサイズよりさらに小さく軽い。また、ボディーカラーのホワイト、シルバーは明らかに女性向けであると考えられる。

 通常、女性と中高年を中心とした男性という、相反する2つの層を狙ったターゲティングはあまり例がない。

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