幸い筆者は先輩のアドバイスを忠実に守り、自分なりに精神面のバランスを保つことができた。だが、均衡を崩してしまう輩も少なくない。企業に自身の飲み食いのツケを回す者、クラブでの豪遊、はては風俗店での接待さえ強要する輩も少なくない。記者というよりも人間の資質の問題だ。
一方の広報マンはタダでは起きない。しっかり貸しの台帳を付けているのだ。例えば、風俗店での接待を強要した記者はしっかりと写真を撮られていたし、某社のSMマニア記者の場合、常連の店で特殊なツールがこの記者用にキープされていることまでしっかりと記録されていた。
台帳に載った記者が企業に都合の悪い記事を出そうとした場合、どうなるか。「躊躇(ちゅうちょ)なく貸しを相殺させてもらう」(某銀行の広報マン)となる。本コラムの冒頭で記した“あの手この手”とは、こういう類いのエピソードも含んでいるのだ。
最近、政府要人や経済界の重鎮にブラ下がる若い記者たちの稚拙な質問や言葉のやりとりを耳にするたび、彼らが手練手管に長けた広報マンたちとどう接しているのか心配になる。若い記者諸君、広報マンは記事を作る上で極めて有能なサポート役となる。一方で、損得勘定も冷徹に計算していることをお忘れなく。
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