米国市場が大幅高、為替も円安ということで買い先行で始まったものの、TOPIXが昨日まで12連騰となるなど目先的な過熱感が強いことから好調な決算を発表しながら上値の重い、軟調な展開となるものが見られるなど総じて上値の重い展開となりました。先物にも散発的にヘッジ売りなども見られ指数の上値を押さえる要因となっていました。ただ、一方で出遅れ感が強い銘柄などは買いが入り底堅い場面も見られました。
相変わらず盛り上がりに欠ける相場展開となっています。目先的な過熱感があるということで決算発表にも悪材料に敏感に反応好材料は出尽くし感となってしまうような悲観的な見方が多くなっています。ちょうど4年前の衆議院選挙(郵政解散)のときを思い出すと共通点と言うか、雰囲気が同じではないかと思います。景気回復の兆しは見られるのですが、ここで景気回復を認めてしまうと与党側は「次」の政策を出さなくてはならず、野党側は与党の政策のおかげで景気が回復したことを認めなくてはならないということなのでしょう。
実際には足元の企業業績も経済指標も少なくとも最悪期は脱しており、ここからは一気に消費なども拡大してもおかしくはないところなのでしょう。ただ、景気の悪いことに慣れてしまって、消費行動に結びつかないのでしょう。同様に投資に関しても株が上昇することを認めたくないという雰囲気もあり(景気回復を認めることになってしまいます)これだけ指数が上昇しても盛り上がらないのでしょう。ただ、オプションSQ(特別清算指数)も近づいており、ちょうど4年前に12000円を超えてからの上昇が非常に早かったように、日経平均が11000円が見えたところから、あるいは10500円を超えたところから大きな上昇となる可能性もありそうです。
周りの雰囲気はとにかく、節目を抜けることで買戻しを急いだり、上昇することへのヘッジで先物を買わざるを得なくなったりといろいろな動きが出る可能性があります。かつて夏場に急騰した例は4年前の郵政解散時のオプションのへっじの為の先物買いやバブルが弾けたあと1992年8月に先物の売りが積み上がったところでの経済政策出動で買戻しが一斉に入り急騰となったことが思い出されます。「まだまだ」と思ったところが「もう」周りの環境が変化しているということもあるのではないかと思います。オプションや先物の動きも注意したいものです。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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