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» 2009年08月04日 07時00分 UPDATE

シリーズ“新借金地獄”の時代:商工ローンの現場で何が起きているのか? 放置される“金融難民” (1/2)

「商工ローン」と聞いて、あまり良いイメージを持っていない人も多いだろう。厳しい取り立てで社会問題にもなった商工ローンだが、かつての“勢い”はどこに行ってしまったのだろうか? とうこうの片岡社長が、業界を取り巻く現状について語った。

[土肥義則,Business Media 誠]

 中小零細企業の経営者が利用する商工ローンが、“窮地”に追い込まれている。商工ローンといえば厳しい取り立てが社会問題にもなり、「あまり良いイメージがない」といった人も多いのではないだろうか。

 しかし商工ローン最大手のSFCG(旧商工ファンド)は、過払い返還請求の影響などで経営が急速に悪化。2009年2月に経営破たんに追い込まれた。「銀行が貸さないところにもお金を貸す、最後の“砦”(とりで)」(業界関係者)ともいわれてきた商工ローンの現場で、いま何が起きているのだろうか。7月29日に行われた早稲田大学消費者金融サービス研究所のシンポジウムにて、とうこう(東光商事)の片岡龍郎社長が、業界を取り巻く現状などについて語った。

とうこうの会社概要

本社所在地:新潟県新潟市

設立:1920年3月、資本金:3億2000万円

従業員:110人、事業所:7拠点

年間融資総額337億円


“銀行に近い形で”お金を貸している商工ローン

yd_kataoka.jpg とうこうの片岡龍郎社長

 そもそも商工ローンのマーケットはどのくらいあるのだろうか。資金事業者(経営者や個人事業主)に資金の借入先を聞いたところ、「銀行」が断トツで54.2%(日本貸金業協会調べ)。次いで「信用金庫、信用組合」(33.6%)、「日本政策金融公庫」(30.5%)、「親族、友人、知人」(13.0%)と続き、「貸金業者(クレジット、信販会社含む)」という人は12.9%と、全体の1割ほどだ。

 一般的に商工ローンには「月曜日にお金を借りに来る人が多い」と言われている。その背景には土・日に親戚や知人などのところに金策に走り、それでも足りない分を商工ローンで借りるという人が多いからだ。

 商工ローンの商品構成は単純だ。かつてのとうこうは、無担保であれば融資金額は100万円までで、金利は29.2%まで。第三者保証が付く場合は200万円までで、金利は20%ほど、不動産担保が付けば500万円以上で金利は年15%、3000万円以上の大口になると10%以内といった具合だ。

 しかし金利を引き下げた現在は、無担保だと500万円まで借りることができ、金利は年12.0%〜14.0%。担保があれば5000万円までで、年8.0%〜14.8%、不動産担保付融資は10億円までで、年4.0%〜9.8%までとなっている。

 とうこうの融資残高の平均金利を見てみると、2000年3月末には23%だったが、2008年3月末には7%まで低下。金利が低下した背景には、2000年当時は無担保・無保証での融資が大半を占めていたが、2008年になると不動産担保付の融資にシフトしているからだ。もちろん貸付平均金額も上昇しており、かつては200万円前後と小口融資が中心だったが、2009年3月末時点では1010万円に膨らんでいる。ちなみに日銀の資料(2009年3月末)によると、国内銀行の平均融資額は1536万円、信用金庫で同1223万円。片岡社長が言うように、もはや商工ローンは“銀行に近い形で”お金を貸しているのだ。

 貸出金利を引き下げたのは、とうこうだけではない。多くの商工ローンではここ数年、金利を引き下げに踏み切っているが、こうした動きの背景にはどのようなことがあるのだろうか。

yd_money1.jpg 事業性資金の借入先(出典:日本貸金業協会)
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